「グッチ」のケリング、サステナビリティ分野の日本発スタートアップを表彰 最優秀賞は発酵技術のファーメンステーション ITイベントレポート:TIDE&WAVE

ジョルダンニュース編集部

グッチやバレンシアガなどの有力ラグジュアリーブランドを傘下に抱える仏ケリングは3月13日、サステナビリティに貢献する革新的なスタートアップ企業を表彰する「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」の記念すべき第1回授賞式を、東京・虎ノ門のTOKYO NODEで開催した。会場には、未来を担う起業家たちの熱気と、サステナビリティへの情熱がほとばしっていた。

栄えある最優秀賞に輝いたのは、ファーメンステーション(東京・墨田)。独自の植物発酵技術で化粧品原料などを開発・製造する同社は、サステナビリティとラグジュアリーを融合させるポテンシャルが高く評価された。代表取締役の酒井里奈氏は、「16年間の努力が報われた喜びと、世界のサステナビリティを牽引するケリングからの期待を胸に、サステナビリティビューティの領域で貢献したい」と、力強く受賞の喜びを語った。

最優秀賞を授けるケリングのフランソワ=アンリ・ピノー会長兼CEO(左)。受賞したファーメンステーションのメンバー。右端が酒井里奈代表取締役。

第2位には、繊維廃棄物から新たな繊維を創り出す技術を持つアンフィコ(Amphico、英ロンドン、亀井潤CEO)。第3位には藻類由来のバイオ素材を開発するアルガルバイオ(千葉県柏市、木村周社長CEO)がそれぞれ入賞した。マイクロバイオファクトリー(大阪市、清水雅士代表取締役)は、独自の微生物発酵技術が高く評価され、特別賞を受賞した。

授賞式後の記念写真。(写真左から)ラファエラ・コルナッジャ(ケリング ボーテCEO)、フランソワ=アンリ・ピノー(ケリング会長兼CEO)、酒井雅士(マイクロバイオファクトリー代表取締役)、酒井里奈(ファーメンステーション代表取締役)、小田康太郎(アルガルバイオ 事業開発グループチームリーダー)、亀井潤(アンフィコCEO)、マリー=クレール・ダヴー(ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者)、ティエリ・マルティ(ケリング ノース&サウスイースト・アジアパシフィック プレジデント)、梅澤高明(CIC Japan会長)=ケリング提供

受賞企業には、パリでの研修や、世界最大級のサステナビリティイベント「ChangeNOW」への出展など、グローバルに活躍するチャンスが与えられる。

受賞企業には、環境への配慮と革新的な技術を融合させた象徴として、3Dプリンターでリサイクルセラミックを用いて製作された、円形のトロフィーが贈呈された。

ケリング会長兼CEOのフランソワ=アンリ・ピノー氏は、「イノベーションとクラフトマンシップへの深い理解を持つ日本は、ケリングにとって重要な拠点」と強調し、「本アワードを通じて、ラグジュアリー業界の新たなパラダイムを創造する、革新的なアイデアやソリューションを促進したい」と、日本への期待を語った。

審査員を務めたケリングのチーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者のマリー=クレール・ダヴー氏は、「日本のスタートアップは、新しいテクノロジーと日本の伝統的なクラフトマンシップを融合させる、ユニークな強みを持っている」と語り、日本のスタートアップ企業の高いポテンシャルを高く評価した。

授賞式会場には、ファイナリスト11社による革新的な技術やケリング傘下ブランドのサステナビリティへの取り組みの紹介が展示された。多くの来場者がファイナリストの経営者らと熱く議論していた。

フランスの大手ラグジュアリーブランド企業や化粧品会社は、スタートアップ企業と協業するオープンイノベーションに熱心なことで知られる。ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパンは、サステナビリティとラグジュアリーの融合を目指す、日本発のイノベーションを世界へ発信する、重要なプラットフォームとしての役割を果たしていくことが期待される。

ジョルダンニュース編集部

記事提供元:タビリス