Waymoら3社、東京都心で自動運転実証実験へ 人手不足対策と未来の移動手段として期待

ジョルダンニュース編集部

米アルファベット傘下のWaymo(ウェイモ)は4月14日、自動運転のための道路関連情報を収集するため、特別な専用車両の走行を東京都内で始めた。配車アプリ大手のGO(ゴー、東京・港)や日本交通(同・千代田)と組み、円滑な自動運転の実現に不可欠な地図データを作成する。

自動運転のデモ走行に発進するウェイモの車両

3社は先立つ4月10日、東京都心7区(港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区)において自動運転技術の実証走行を開始することを発表した。この取り組みは、Waymoが持つ先進的な自動運転技術を、日本の複雑な都市交通環境に適応させるための重要なステップである。

この実証実験は、2024年12月に3社が締結した戦略的パートナーシップに基づいて進められる。各社の役割は明確に分担されており、Waymoは米国で実績を持つ自動運転タクシーサービスの技術力を提供する。日本交通は東京都内の整備工場ネットワークと運行管理のノウハウを活かしてWaymo車両の運用と維持管理を担当。GOは日本最大のタクシー配車アプリ運営会社として、サービスの市場評価と社会受容性向上を支援する。

実証走行では、日本交通の訓練を受けた乗務員がジャガーの電気自動車「I-PACE」に搭載されたWaymoの自動運転システムを操作する。公道でのセンサー情報収集や高精度3Dマップのデータ構築を進める。現段階では乗客を乗せた運行は行わず、日本特有の左側通行や密集した都市交通環境へのシステム適合性検証に重点を置く。

「自動運転技術は、日本の少子高齢化や人手不足という社会課題解決に貢献する」と川鍋一朗GO代表取締役会長は期待を示した。Waymoの事業開発責任者も「日本での公道走行は米国外では初の挑戦であり、安全性と地域社会との信頼構築を最優先する」と強調している。

Waymo車両公開で実施された関係者の記念撮影

タクシー業界は乗務員の高齢化が進み、慢性的な人手不足に直面している。自動運転技術の導入により、深夜帯や過疎地域など、現在のビジネスモデルでは採算が取れない時間帯・エリアでのサービス提供が可能になる可能性がある。

自動運転タクシーの実用化には技術面だけでなく、制度面での整備も必要となる。現行の道路交通法では完全無人での自動運転サービスの実施には特別な許可が必要とされており、法規制の見直しが課題だ。また、事故発生時の責任の所在や保険制度の整備も急務である。4月17日には、東京都の小池知事が、ウェイモをはじめとする自動運転に取り組む民間事業者らと意見交換し、東京都内での導入促進を表明した。

4月10日の発表会は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の高輪ゲートウェイシティ駅の広場で実施された。関係者は会場提供だけ、と話すが、それだけに止まらない可能性はある。喜勢陽一社長が参加し、記念写真にも収まったのである。交通ビジネスの専門家は、「自動運転タクシーはファーストマイル・ラストマイルの移動手段であり、JR東日本のビジネスの選択肢となりえる」と分析する。

ジョルダンニュース編集部

記事提供元:タビリス