日本ゴルフツアー機構、男子ツアー営利事業を新会社「J-Tour」へ移管 最大200億円規模の資金で収益力強化へ

ジョルダンニュース編集部

一般社団法人日本ゴルフツアー機構(JGTO)は26日、日本産業推進機構(NSSK)と事業譲渡契約を締結し、国内男子プロゴルフツアーに係る営利事業を新たに設立する「株式会社ジャパン・プロゴルフツアー(J-Tour)」へ承継すると発表した。JGTOは今後、競技運営や選手管理、次世代育成といった本来の使命に専念する。一方でJ-Tourは、ツアーの企画・運営、放映権の管理、マーケティングなどを一手に担い、NSSKから今後5〜10年間で最大150億〜200億円規模の成長資金を受け入れ、事業の収益化を図る。

記念写真に収まる関係者

JGTOの諸星裕会長は会見で、男子ツアーの財務基盤やビジネスモデルに対する強い危機感が新体制移行の背景にあったと明かした。NSSKとの提携による新組織設立について、諸星会長は「これによって日本の男子ツアーが当分の間、かなり確かな土台で伸びてくことができる確信を持っております」と語り、強固な経営基盤によるツアーの再建に期待を込めた。

日本ゴルフツアー機構の諸星裕会長

また、J-Tourを資金面や経営ノウハウで支援するNSSKの津坂純社長は、国内ゴルフ市場が約1.4兆円規模、競技人口が800万人を超える点に触れ、「世界水準のスポーツ競技資産」だと評価した。一方で「価値がうまく生み出されていない。成功する勝ちパターンの仕組みをまず作らないといけない」と指摘し、J-Tourを通じて構造改革を断行する姿勢を示した。

自社紹介する日本産業推進機構の津坂純社長

J-Tourの具体的な成長戦略として、ファンやスポンサーのエンゲージメント強化が進められる。これらを牽引するNSSKの徳山一晃シニアパートナーはメディア戦略について、「全大会地上波放送、可能であれば是非ネット配信」を目指すと述べた上で、「過去のライブラリーの確保、加えて全ショットの見える化」などに言及し、「いつでもどこでもコンテンツを供給できるインフラ」の整備に注力すると説明した。さらに徳山氏は、成長に向けた投資規模について「今後5年から10年で150億から200億の支援枠を考えている」と明言した。これらの資金は、海外ツアーを見据えたコースセッティングの導入や、若手が出場する下部ツアーのプレー費用の全額負担など、選手支援にも充てられる。

「株式会社ジャパン・プロゴルフツアー(J-Tour)」の経営をリードする、日本産業推進機構の徳山一晃シニアパートナー

J-Tourによる本格的なツアー運営は2027年シーズンから開始される。準備期間となる来季は、新たにJ-Tour主催による大会を2試合開催し、新たな興行モデルの検証を行う。また、新ツアーのタイトルスポンサーにはみずほフィナンシャルグループが就任する。

JGTOおよびJ-Tourによる今回の構造改革の背景には、欧米スポーツ界における営利事業化の成功例がある。米男子ゴルフのPGAツアーは、投資グループ「SSG」から14億ドル(1.4ビリオン)もの巨額投資を受け、組織改革を進めている。同ツアーの商業売上は35〜40年前には日本を下回っていたが、構造改革によって現在の巨大ビジネスへと成長した。

また、英プレミアリーグや米プロフットボール(NFL)、米プロバスケットボール(NBA)などの世界的なスポーツ組織は、リーグ全体で放映権を一元管理し、二次配信などを通じてコンテンツ価値を極大化している。加えて、動画配信のネットフリックス(Netflix)やF1などに見られるように、選手の裏側にあるヒューマンストーリーを配信し、ファンの関心を惹きつけるエンターテインメント化の戦略も主流となっている。

J-Tourはこうした海外スポーツの成功事例やビジネスノウハウを応用し、ESG(環境・社会・企業統治)の観点も取り入れながら、日本の男子プロゴルフツアーを世界水準の「スポーツ×エンターテインメント事業」へと進化させる構えだ。

記念写真に収まる関係者
記事提供元:タビリス