成果の横取り、責任の押し付け、気分で態度を変える...「やる気を失わせる」上司に賢く対処する方法は
2026/4/4 14:00 J-CASTニュース

やる気を失わせる上司は、気分で態度を変える、成果の横取り、細かいマイクロマネジメント、指示が一貫しない、責任を押し付ける、失敗を厳しく責める、感情的な叱責を行うなど、部下の信頼や心理的安全性を損なう言動をする人です。
上司の一言で「やる気」を一瞬で奪ってしまう
これらは「スライサー上司」とも呼ばれ、部下の自律性や尊厳を日々少しずつ奪うため、慢性的なストレスと意欲低下を招きます。
でも、「1枚ずつ」でなく「一瞬」でやる気がゼロになることもあります。つい先ほどまで、やる気満々だったのに、しぼんでしまうくらいに肩が落ちた状態。そんな大きな変化に遭遇したことがあります。
意欲が高く、周囲に活力をもたらすような発言をする自分が尊敬する先輩が、上司との打ち合わせで会議室に入り、出てきたら、肩を落として、やる気が失った状況になっていました。
ふだんその先輩は、元気のない後輩を励ましたり、褒めたりしながら、職場の中心的な存在でした。先輩にあとで聞くと、上司からの一言が原因であったようです。それくらい放たれた上司の一言で、人のやる気を一瞬で奪ってしまうことがあります。
「あの言葉で自信をなくした」
「一気に意欲がしぼんだ」
同じような経験をしたことがある人も多いでしょう。相手の意欲を削いでしまう典型的なフレーズの例を取り上げながら、もし自分がそうした一言を投げかけられたとき、どのように受け止め、どう返せばよいのかを考えていきましょう。
「期待していたので残念です」を発する上司の人間性
「期待していたので残念です」
あるオーナー経営者は、右腕として起用した人に対し、毎回のようにこの言葉を言ってしまい、何年かおきに去られています。
どういうことかというと、当初は業務の効率化に関心があって、その専門家を右腕に起用。それなりの成果をあげるのですが、何年か経つと、その右腕の仕事ぶりをオーナーも覚えてしまう。
すると、さらに高いレベルの成果を期待するのですが、右腕はその期待には応えられない。そこで冒頭の言葉が発せられて、右腕は居場所をなくして去ることになるのです。
ただ、オーナーは新たな関心が生まれるので、新たな右腕を採用。右腕は同じように当初は期待に応える存在として高い評価を得るのですが、数年後には同じように「残念だ」と言われて、会社を去るということが繰り返されます。
私は「オーナーのマイブームが気まぐれで変わる問題」を指摘して、右腕で転職を考えている人に注意を喚起しています。
同じように「残念だ」と言われて、モチベーションを下げる人にはたくさん遭遇します。そんな人と仕事するなら、勝手に期待値が上がりすぎないように自分の等身大を伝えておくことが大切かもしれません。
うまく切り返した女子プロゴルフの渋野日向子プロ
プロゴルファーで全英女子を制覇した渋野日向子プロは国内ツアーで優勝できなかった試合の後、周囲から「残念ですね」と期待値の高い声をかけられました。しかし彼女は「こんなものですよ」「過大評価しないでください」と、等身大の自分をアピールしていました。
本当にクレバーな選手だと感じます。同じ状況で「期待していてください」や「頑張ります」と、むやみに期待値を上げる発言をしてしまう人が大半ではないでしょうか。
周囲にのせられてしまうのでしょうが、その発言で自分の首をしめていることは自覚した方がいいかもしれません。もし誰かに「もっとできると思っていた」と言われても、「いや、それ過大評価ですよ。等身大の自分はこんなものです」と肩の力を抜いた回答を心がけてください。これ以外にも――。
「なんでこんなこともできないの?」
→部下の能力を頭ごなしに否定し、改善のためのサポートを示しません。
「言われたことだけやってればいいんだ」
→部下が自ら考え、行動する機会を奪い、指示待ちの姿勢を助長します。
「そんなこと常識でしょ?」
→質問や相談を躊躇させ、新たな挑戦への意欲を削ぎます。
「期待した俺がバカだった」
→部下の人格や努力そのものを否定するような、感情的な非難です。
ため息や首を振るなどの「非言語的否定」
→言葉以上に冷たい態度で、部下とのコミュニケーションを拒絶しているサインとなります。
これらの言葉の根底には、「自分は正しい」「部下は自分と同等のレベルであるべき」といった誤った認識や、部下への思いやりの欠如があります。このような上司の言動は、部下の意欲をゼロにして、最終的に離職につながる可能性もあります。
有効な対処法をいろいろ組み合わせてみよう
では、やる気を失わせる上司に対して、どのように対処したらいいでしょうか? 2つほど紹介したいと思います。
1. 自分の対応を変える
冷静に受け止める:上司の理不尽な言動にカッとなっても良いことはありません。一度冷静になりましょう。
「なぜ?」と質問で返す:感情的にならず、「なぜそのような指示なのですか?」などと質問で返すことで、上司に自分の意図を再考させたり、会話を論理的な方向に向けたりできます。
スルーする: 仕事に支障がない範囲であれば、ネガティブな言葉を真に受けず、聞き流すことも一つの手です。相手の言葉に一喜一憂しない意識が大切です。
仕事だと割り切る:「これは業務上のやり取りであり、個人的な攻撃ではない」と割り切ることで、精神的なダメージを減らせます。
2. 上司との距離を取る
関わる頻度・時間を減らす:業務に支障がない範囲で、上司との関わりを物理的・精神的に減らします。
完璧を求めない:完璧な上司はいないことを理解し、良いところを探す努力をしてみるのも、自分の気持ちを整理する助けになります。
自分自身の行動を振り返る:自分にも改善できる点がないか客観的に振り返ることで、問題解決のきっかけが見つかる可能性もあります。
これらの対処法を組み合わせ、自分に合った方法でストレスを軽減し、心身の健康を守りましょう。
【筆者プロフィール】
高城 幸司(たかぎ・こうじ)/株式会社セレブレイン代表取締役社長。1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。









