「価格高騰のインパクトを解消したい」ファミマが銘柄米値下げへ 備蓄米も販売、その戦略とは

J-CASTニュース

   高値が続く銘柄米について、コンビニ大手「ファミリーマート」は2025年6月5日、同月中旬から3週間ほどの期間限定で値下げキャンペーンを行いたい考えを取材に明らかにした。

   ファミマでは、この日から備蓄米の販売も始めている。一体、なぜそんなことが可能で、どんな狙いがあるのだろうか。

「新米が出るまでの間、少しでもお役に立てれば」

「新米が出るまでの間、少しでもお役に立てればと思っています」

   ファミリーマートの細見研介社長は2025年6月5日朝、東京都港区内の店舗に立ち、視察に来た小泉進次郎農水相にこう説明する。

   小泉氏は、備蓄米の袋を手に取って、細見社長の話に聞き入っている。報道陣が集まる中で、話が終わると、お互いに深々と頭を下げた。

   同社のニュースリリースやJ-CASTニュースの取材に広報部が答えたところでは、随意契約で備蓄米1000トン分を購入し、この日から、東京都や大阪府の計20店舗で1キロの小容量パックを388円(税込)で売り出した。都内では朝6時から、大阪府内では13時から、それぞれ発売した。予約は受け付けず、1人1点に限っている。当初は、400円の予定だったが、22年産が入荷できず、21年産になったため、値下げしたという。7月中旬までをめどに、できるだけ早く全国でも発売したいとした。

   各店で何パックを売り出したか明らかにしていないが、数量限定の販売のため、港区内の店舗では、30分ほどで完売してしまった。他の店の状況については、正午ぐらいまでの時点で把握していないとしている。

   報道によると、港区内の店舗では、細見社長は、銘柄米も値下げする考えを示し、「コメ問題の転換点になればいい」と語った。

   小泉農水相も5日、X投稿で次のように期待感を示した。

「ファミリーマート、備蓄米販売にとどまらず、銘柄米まで値下げキャンペーンを展開してくれるとのこと。マーケット沈静化に向けた新たな後押しに感謝」

   高値が続いている中で、ファミマは、なぜそんなキャンペーンまでできるのだろうか。

「価格高騰にお客様は悩んでおり、お得な商品を」

   この点について、ファミマの広報部は、「価格を調整していくということで、赤字ということではありません」と取材に説明した。注目を集めれば他の商品も売れるから、といった理由でもないという。

   値下げする予定なのは、プライベートブランド「ファミマル」から発売している2品だ。「国産コシヒカリ」と「国産コシヒカリ無洗米」で、それぞれ1.5キロ1800円、1920円(ともに税込)で現在は販売している。全国での販売を考えており、値下げ額がいくらになるかについては、調整中だとした。

   なぜこの時期に銘柄米を値下げするのかについては、次のように明かした。

「コメ価格高騰のインパクトを解消することが狙いです。価格高騰にお客様は悩んでおり、お得な商品を出せればと考えました」

   6月中旬から3週間ほどと、値下げを期間限定にしたい理由については、こう述べた。

「3週間後には、今年の新米が出てきます。弊社では、新米を扱うわけではありませんが、コメ価格が安くなる流れにつながればと考えています」

   値下げキャンペーンの詳細については、決まり次第、ファミマの公式サイトなどでお知らせを出すとしている。

   なお、5日は、ローソンでも、東京都と大阪府の一部店舗で、小容量パック1キロ389円(税込)などとして備蓄米を発売した。セブン-イレブンでは、17日から東京都や大阪府などの一部店舗で備蓄米の無洗米2キロを775円(同)で発売し、全国に順次拡大する予定。

   (J-CASTニュース編集部 野口博之)

記事提供元:タビリス