盗難被害にあう自動車は「トヨタ」ばかり 上位10車中8台、古いクルマも狙われる

J-CASTニュース

   警察庁によると、2024年の自動車盗難で最も多いのはトヨタランドクルーザーで1064台、2位以下はトヨタプリウス539台、トヨタアルファード488台、トヨタレクサスLX230台、トヨタハイエース170台、トヨタレクサスRX165台、ダイハツハイゼット103台、トヨタクラウン101台、スズキキャリイ96台、トヨタレクサスLS76台となっている。

高級車が目立つ

   盗難台数が多い上位10車のうち、トヨタは8台を占め、レクサスやクラウンなど高級車が目立つ。首位のランドクルーザーは2位のプリウスの倍近くの台数で、需要の高い海外に売り飛ばされているとみられる。

   警察庁によると、盗難車は新しい年式のクルマだけでなく、2000年以前に製造された古いクルマも狙われているという。

   主な盗難の手口としては、工具などを使ってドアを解錠し、ステアリングロックを破壊してエンジンを始動させる方法のほか、スマートキーの電波を特殊な機器で盗み出すリレーアタックや、CANインベーダーと呼ばれる特殊な電子機器を使ってエンジンを始動させる方法が横行している。キープログラマーなど特殊な電子機器を用いてキー(鍵)を複製する手口もあるという。

CANインベーダーへ対策は難しい

   盗難を防ぐにはどうしたらよいのか。警察庁はイモビライザーの装着のほか、リレーアタックの被害を防止するため、スマートキーを玄関などに置かず、電波を遮断できるケースに入れることなどを推奨している。しかし、CANインベーダーへの対策には言及していない。

   現代のクルマはCAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)と呼ばれる通信規格で電子制御ユニット(ECU=エレクトロニック・コントロール・ユニット)を制御している。CANインベーダーとは、CANに不正な信号を送信してドアロックを解除し、エンジンを始動させる特殊な電子機器だ。モバイルバッテリーのような小型サイズで、数分でエンジンを始動させることができるという。

   このため市販のステアリングロックやタイヤロックなどは、時間稼ぎぐらいの抑止効果しかないようだ。

盗難車の追跡にGPSの活用は有効

   CANインベーダーはクルマの左フロントタイヤ付近から差し込むため、駐車する際は左フェンダーを壁などにぴったり寄せ、侵入者が入り込めないようにするとよいようだ。

   もちろん、駐車場にいつも壁があるとは限らない。そこで最近はCANインベーダーに対応した車両セキュリティーシステムをユピテルなどが開発し、販売している。リレーアタックにも対応するという。オートバックスなど自動車用品店が扱っており、価格は数万円程度のようだ。

   万一、クルマが盗難に遭った場合、警察に届けるのはもちろんだが、クルマにGPS追跡装置やアップルのAirTag(エアタグ)を備えておけば、発見が容易になるかもしれない。

(ジャーナリスト 岩城諒 )

記事提供元:タビリス