働く男女400超の「キャリアの不安」...私のスキルは他社でも通用するか? 求められる人材になるための自己分析、キャリア戦略とは
2025/6/21 14:00 J-CASTニュース

転職が当たり前となった今、キャリアに漠然とした不安を抱えるビジネスパーソンは少なくありません。特に、「自分のスキルは他社でも通用するのか」といった市場価値に関する悩みは、多くの人が直面する課題の一つです。
オープンワークが働く男女439人に聞いた「今後のキャリアで最も不安なことは何ですか?」という調査では、「市場価値・専門性」が最多の回答となりました。
この調査結果をもとに、多くのビジネスパーソンが自身の市場価値に不安を抱える背景を探ります。そして、どのように向きあえばよいのか――。私、オープンワーク マッチング事業部の和田大生(わだ・ひろお)が具体的な声とともに解説します。
変化する時代に高まる市場価値への不安
「個人」のキャリア情報をオープンにするコミュニティサービス「OpenWork キャリア」に集まった「今後のキャリアで最も不安なことは何ですか?」という質問に対する、OpenWorkキャリアユーザー439人(5月29日時点/調査は2025年2月14日~5月29日、当社が運営するコミュニティサービス「OpenWorkキャリア」で実施)の回答を分析したところ、「市場価値・専門性」が最多の30.5%、次いで「収入・資産形成」が21.6%という結果になりました。

「市場価値・専門性」と回答したユーザーのコメントからは、現在の職場で仕事を続けても他社で通用する汎用的なスキルが身につかないことへの不安がうかがえました。
また、変化の激しい労働市場においては、自身のスキルや経験がどの程度通用するのかを見極めることが難しくなっています。AIの台頭や技術の進化が急速に進み、従来の仕事のあり方が大きく変わる可能性があるなか、「自分の仕事が今後も求められるのか」といった新たな不安が生まれていることが見てとれます。
OpenWorkキャリアに投稿されたコメントを紹介します。
「現職だとポータブルスキルが身につかず会社固有の運用や人間関係に振り回されてしまう気がする。(経理)」
「古い組織で、時代遅れな技術の保守、内向きの会議が異常に多い。報酬はそれなりにいただいているが、その分市場価値を失っていると感じる。(生産技術)」
「AIが台頭してきた市場において、自身の価値を維持できるか不安。自分も含めて、周りを見渡してもAIをうまく使いこなせば必要価値がなくなるのではと思ってしまう。(システム開発)」
キャリア不安を乗り越え、市場価値を高めるために
市場価値や専門性という言葉は、どこか抽象的に聞こえるかもしれません。
簡単に言えば、「他の会社からも求められる人材かどうか」を示す指標ととらえることができます。ある営業職の人が今の会社で高い成果を上げていたとしても、その成果が会社独自の仕組みや商品の力に支えられていた場合、他社でも同じように活躍できるとは限りません。
一方で、「どんな商材でも売れる営業力」や「データ分析をもとに戦略を立てられる力」があれば、業界を問わず求められる人材としての価値は高まります。
実際、私が採用支援を行うIT企業の担当者はこう語っていました。
「どんな環境で、どのように考えて仕事をしてきたのか。そうしたプロセスを明確に言語化できない求職者は、面接で評価されにくく、結果として選考が進まないことが多い」
このことからも、単に経験やスキルがあるだけでなく、それをどのように培ってきたのか、自分の言葉で説明できる力が重要だと分かります。過去の業務経験をどう捉え、どう活かしてきたのかを明確に伝えられる人は、それだけで他の候補者と差をつけることができるのです。
また、「今できること」に目を向けることで、採用市場で評価されるチャンスは確実に広がります。広げるためには、自身のスキルや経験を棚卸しし、どの専門領域で強みを発揮できるかを明確にしましょう。そのうえで、スキルアップや実績づくりに取り組み、市場のニーズを意識した行動を重ねることが重要です。
自分の市場価値を理解し、専門性を磨いている人は、面接でも自信を持って話すことができ、選考を優位に進めています。キャリアに不安を感じたときこそ、焦らず冷静に行動し、自分の市場価値と向き合うことが、将来の選択肢を広げる第一歩となるでしょう。
【プロフィール】
和田大生(わだ・ひろお) オープンワーク株式会社 マッチング事業部 ダイレクトセールスユニット/大学卒業後、2021年にオープンワーク入社。リクルーティングコンサルタントとして、一貫して大手総合コンサルファームや日系大手メーカー、テック系ベンチャー企業などの中途採用を支援する。現在はメンバーマネジメントや自社採用などにも奮闘中。