「キッズ脱毛」急増、8歳から受け入れるクリニックも... それでも本人気にしなければ「必要ない」断言するワケ

J-CASTニュース

   東京の銀座・新宿・立川に展開する美容皮膚科「ウィルビークリニック」(統括院長・堀田歩希氏)が、2025年6月20日から、同院が定める医療脱毛の対応可能年齢を「12歳」から「8歳」に引き下げると発表した。

   近年は小学生や中学生で脱毛を行う「キッズ脱毛」の需要が急増しているというが、メリットだけではなく、デメリットや注意点もある。同院に詳しい話を聞いた。

「脱毛の検討を始める年代が大きく引き下がっている」

   同院は発表で、キッズ脱毛急増の背景として「脱毛の検討を始める年代が大きく引き下がっている」ことを挙げた。小学生は腕や脚の体毛、中学生はワキ毛やアンダーヘアが気になり始める年ごろで、体育の授業、水泳やバレエなどの習い事といったシチュエーションをきっかけに脱毛を考えるケースもあるとしている。

   このような中で、「SNSやインターネット、テレビCM、電車広告などを通じて、脱毛サロンや医療機関で脱毛施術が可能であることを知り、保護者と相談のうえで来院される未成年の方が増えております」という。

   キッズ脱毛の最大のメリットともいえる点は「コンプレックス解消」。次に挙げたのは「肌トラブル予防」。カミソリやシェーバーで自己処理すると肌ダメージが蓄積し、炎症や色素沈着の原因になる。

   一方でデメリットもある。1点目は、レーザー照射に伴う「痛みやストレス」。施術を受けるにあたり家族で丁寧に話し合うよう促している。2点目は、成長とともに「再度毛が生えてくる可能性がある」。発育途中だと脱毛効果が安定しにくかったり、脱毛回数が増えたりする場合もある。これらのメリット・デメリットを踏まえて検討する必要があるとし、無料カウンセリングの活用も勧めている。

「本人が気にしていない場合、脱毛の必要はありません」

   一方、なかには親の考えで子の脱毛を検討するケースがあるとし、「本人が気にしていない場合、脱毛の必要はありません。ご本人の気持ちが定まっていない段階で、親御様の判断だけで脱毛を進めることはおすすめできません」と注意喚起する一幕も。

「体毛は人間にとって自然なものであり、その是非については様々な価値観が許容されるべきです。脱毛は常識ではなく、あくまでも選択肢のうちのひとつであることをお子様に理解いただき、その上で自分の身体について改めて考えられるよう、親御様が支援することが理想です」

   キッズ脱毛をめぐり、年齢引き下げを行う一方で、そのあり方については中立的にコメントしている。ウィルビークリニック広報担当を通じ、統括院長の堀田氏は20日にJ-CASTニュースの取材へ応じ、あえて全肯定しない姿勢には、「あくまでも患者様の意思や多様性を重視したいという思い」があると説明した。

「医療脱毛は気にしていない場合は必要はないですし、体毛がないことが『当たり前』という価値観はひとにより異なる。『脱毛をしないと異性から嫌われる』などといった不安を煽るような広告も散見されるように、知らず知らずのうちに価値観を強制されてしまうこともある。特に、自我が確立されていない小児の年代では影響を受けやすいため、さまざまな選択肢の中から自身の価値観を醸成してほしいという思いから、『脱毛しない』という選択肢もしっかり示したい」

   また、「医療提供をする上でリスク開示の責任を果たすことで安心して施術をうけていただきたいという思い」もあるという。

「施術の痛みや精神的ストレス、成長に伴う再びの発毛など、デメリットを正しく説明して、医療機関としての責任ある情報提供を心がけている。自由診療にはビジネスの側面もあるが、あくまでも医療者として医療倫理に立ち返って正しい情報発信をしたい」

「体毛が気になる」「からかわれる」8歳前後でも相談増

   ではそもそも、以前はなぜ、キッズ脱毛の対応下限を12歳と設定していたのだろうか。堀田氏は次の3点を挙げた。

   (1)本人による意志確認の適正年齢であるため→自分の意志を言語化し、医療行為の意味やリスクをある程度理解できる年齢の基準として設定。(2)施術に耐えられる年齢→施術時のストレス(長時間横になって施術を受けることや、レーザー照射による痛みなど)に耐えられ、医師や看護師との意思疎通が図れる年代。(3)ニーズ→二次性徴を迎えていることが多い年代で、中学進学を期にご相談いただくことが多かったため。単純に従来は12歳未満のニーズが多くなかったこともあり、12歳を一つの目安としていた──という。

   8歳に引き下げた理由は下記のように説明している。

(1)低年齢層からの相談増加→8歳前後でも「体毛が気になる」「からかわれる」などの相談が増加しており、ニーズが明らかになってきたため。早い方だと二次性徴も始まり、体毛の変化も生じる年代であるため。
(2)医療レーザー機器の安全性向上→最新レーザー機器の冷却機能や出力調整の精度向上により、敏感肌の小児にも安全に施術ができるようになっているため。照射時間も短くなり、痛みも少なくなったことにより施術時のストレスが減ったこともあり、より低年齢でも受けやすくなった。

キッズ脱毛の重要ポイントとは

   間口を広げたキッズ脱毛に関して、同院は次のポイントも伝えたいとしている。

・保護者の同伴・同意の徹底
・肌トラブル予防としての医療脱毛の利点(剃毛による肌荒れの予防やニキビ予防になる)
・施術後のケアや将来的な変化への配慮
・信頼できる医療機関で受けることの重要性
・理想の自分の姿に近づくことで、自分に自信を持って成長していただきたいという想い
記事提供元:タビリス