コスパ、タイパの次は「スペパ」に注目 隙間を活用して生活を豊かに、その具体例

J-CASTニュース

   「スペパ」をご存知ですか。「スペースパフォーマンス」を略した言葉で「空間対効果」と訳されることが多い。限られた空間を効率的に使う工夫をして、より快適に暮らそうという考え方でもある。いわば「コスパ」や「タイパ」のきょうだいにあたる。

TVのスぺパ特集、ネット販売も隙間商品を紹介する

   家具インテリア、小型家電、住宅設備といった分野で「スペパ」を意識した新商品が相次いでいる。NHKは2025年4月の放送で、「新しい生活がはじまる新年度に『スペパ』が注目されている」として、3畳ほどの狭いスペースを最大限に活用する賃貸物件や、スリムで背の高い冷蔵庫などを紹介した。

   楽天市場は「スペパ特集、すきま収納で暮らし快適化!隙間収納・デッドスペース家具まとめ」とうたい、洗濯機の上の空きスペースや台所のわずかな隙間を生かす商品を紹介する。また、ネットスーパーのOisixは、冷蔵庫の中で場所をとらない使いきりサイズのミニ野菜を「スぺパベジ」と名づけている。

   「コスパ」はコストパフォーマンスの略で、費用(コスト)に対する価値や満足度を意味する。2020年代に急速に広がった「タイパ」はタイムパフォーマンスの略で、時間に照準を合わせ、動画を早送りするときなどに用いられる。

子どもがいる家庭の関心が強い生活空間の有効活用

   続いて登場した言葉「スペパ」は、どれほど認知されているのだろう。

   2025年4月に、アウトドア商品などのブランド「パイクスピーク」の運営会社が一般消費者109人にたずねた調査で、「スペパ」を知っている割合は20.2%だった。また、トランクルームの「キュラーズ」社が2024年7月に東京都在住の既婚者379人から回答を得た調査では、「スペパという言葉は知っていたし、それを意識して生活している」と答えた割合は、子どもがいる家庭で28.7%、子どもがいない家庭で9.8%と3倍の開きがあった。

   背景としては、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが身近になり、生活空間への意識が高まったことが指摘されている。さらに、東京をはじめとする都市部の不動産の高騰がある。以前と同じ価格で手に入る住宅はずいぶん狭くなった。また、必要最小限のものだけでシンプルに暮らすライフスタイル「ミニマリズム」が改めて意識されていることも素地になっているという。

   効率化がすべてではないが、「スペパ」は単なる「省スペース」にとどまらず、より賢く心豊かに暮らす明日へのヒントとして使われていくのかもしれない。

(ジャーナリスト 橋本聡)

記事提供元:タビリス