ETC障害騒動の余波...「深夜料金の変更」スタート時期を延期 だが新制度は「複雑」とXで酷評
2025/6/27 17:00 J-CASTニュース

2025年4月6日にNEXCO中日本管内の高速道路で発生したETCの大規模障害。これは、さまざまな動揺をもたらす出来事だった。
ゲートバーが上がらなくなった料金所前では大渋滞が起こったが、NEXCO中日本は長時間ゲートを開放せず、そのために事故まで発生した。さらに、該当期間に高速道路を利用していた利用者に対してNEXCO中日本は「後日払い」を要求していた。
法的根拠を掲げていたとはいえ、あまりに非現実的な対応だった。大きな批判を受けたNEXCO中日本は、この後日払いを撤回している。
波紋はさらに広がり、NEXCO3社が実施する予定だった「新しい深夜割引制度」の開始時期の延期にもつながっている。
暗算が簡単だった旧制度
NEXCO3社の高速道路で実施されている深夜割引制度は、0時~4時までに道路を走行した車両に適用される。割引適用時間帯に少しでも触れていれば、それまでの全走行分料金から30%が出口料金所で割引されるというシンプルな仕組みだ。小学生でもすぐに暗算できるだろう。
一方、この7月に運用が始まる予定だった新しい深夜割引制度では、適用時間帯が22時~翌5時までに延長。これだけを見れば、利用者にとって、非常に有利な条件になったとも思える。
しかし、新制度では「割引適用時間帯を少しでも走行すれば、それまでの全走行分の料金が30%OFFになる」という仕組みは廃止される。代わりに導入されるのは「割引適用時間帯の走行分のみを割引する」というものだ。
複雑な計算式が導入される新制度
ここで例を挙げよう。
21時45分に入口料金所を通過した車が、20km走行した時点で22時を迎えたとする。その後、0時まで180kmの道のりを走行し、出口料金所をくぐる。割引適用時間外であれば、通行料金は5,000円だ。
旧制度の場合、単純に5,000円から30%が割引されていた。つまり、この車にかかる通行料金は3,500円である。しかし、新制度ではこのような計算式が用いられる。
5,000円×(100%-(180㎞(割引適用時間帯の走行距離)÷200㎞(全走行距離)×30% =3,650円
割引対象に「割引適用時間帯の走行距離」という基準を設けているため、今までよりも遥かに複雑になっている点は否めない。Xでも「複雑過ぎ」「改悪だ!」「暗算できない!」などと言われてしまっている。
「直接割引」ではなく「ポイント還元」
また、旧制度では単純に「出口料金所で通行料金を割引する」というものだったが、新制度では「ETCマイレージサービス」または「ETCコーポレートカード」への後日還元型となる。
ようするに、直接的な割引からポイント還元になるということだが、一般利用者はETCマイレージサービスを自分で登録しなければこの還元が得られない。そのあたりも「経費請求が複雑になる!」という声がXにポストされている。
この新制度は、当初の計画では2025年3月末に導入される予定だった。それが延期されて同年7月末の予定に変更。そして、ETC大規模障害の影響で再延期されて今に至る。
ネットではお世辞にも評判がよいとはいえないこの制度、果たして本当に実現されるのだろうか?
(澤田真一)