Agodaの予約トラブル、星野リゾート代表も苦言 空室転売が原因?運営会社「業務改善進めている」

J-CASTニュース

   「予約して来たが部屋がなかった」「朝食付きのはずなのになぜ素泊まり?」。海外予約サイト「アゴダ(Agoda)」を巡って、こんなトラブルが相次ぎ、宿泊施設が頭を悩ませている。

   ホテル運営などで知られる星野リゾートの星野佳路代表は、Xで事例を挙げ、「AGODAのシステムには何らかの問題がある」と苦言を呈した。観光庁は2025年3月にAgoda側にトラブルの改善を申し入れており、同社は、取材に対し、空室提供で連携している業者の再評価を進めるなど業務改善に取り組んでいると説明した。

「予約した方が到着し、お部屋を確保できないケースが頻発」

「星野リゾートは、オンラインの旅行エージェントであるAGODAとは契約していないが、AGODAで予約した方が到着し、お部屋を確保できないケースが頻発している」

   星野代表は6月24日、Xの投稿でこう切り出した。「先日もメンテナンス休館していたホテルにAGODA経由の予約者がいらした」とも報告し、システムに問題があるのではないかと疑問を投げかけた。

   インバウンドの外国人観光客にも、トラブルが発生しているのか、星野代表は25日、英語でもXで発信した。「Agodaをご利用の上、ご旅行の計画をされているお客様は、トラブルを避けるため、再度ご確認ください」と呼びかけ、最安値という公式サイト予約を勧めていた。

   Agodaを巡っては、ホテルチェーン大手の東横インが16日、契約サイトに提供しているホテル空室枠が一部転売され、トラブルが生じていると公式サイトで注意喚起し、大きな話題になった。

   予約情報がホテルに通知されず部屋が確保されていない、部屋タイプや宿泊日がホテルへの通知とは異なっている、といったものだ。転売のためか、ホテル設定の料金よりも大幅に高い料金だったり、キャンセル不可で販売されたりするケースもあるとしていた。

   Agodaのシステムで、一体どんなトラブルが生じているのだろうか。この点について、星野リゾートの広報担当者は25日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。

星野リゾートでは、多いところで年に約300件のトラブル

「Agodaの管理画面が見られないのであくまでも推測ですが、星野リゾートの各施設が契約している旅行サイトなどが押さえた部屋について、内外の業者などの第3者がAgodaを通じて客に転売している可能性があると考えています。第3者が入りますと、部屋が確保されていても、旅行サイトのときと人数が違って販売されたり、素泊まりが朝食付きになっていたりして、それが施設に通知されていないときがあるようです。旅行サイトとは、そもそも販売している部屋の価格が違ったりしています」

   その背景には、Agodaが自らの予約サイトについて、空室を売買するマーケットプレイスと位置付けていることと関係がありそうだとした。

   中には、ホテルの部屋を確保していないにもかかわらず、第3者が販売しているケースもあるのではないかという。

「部屋を確保すると、キャンセル料がかかることがあります。そのリスクがあるため、客に部屋が販売できたら確保しようと考えるのでしょう。しかし、もし部屋の在庫がなくなれば、確保できなくなりますので、客がホテルに来ても部屋がないといったことが起こり得ます」

   星野リゾートの施設では、少ないところでも年に数件、多いところでは年に約300件のトラブルが起きていると説明した。1日に1件弱の計算だ。

   こうしたトラブルのツケを負わされるのは、結局客になるようだ。

「お客様が施設に来られても、旅行サイトの販売に沿って泊まってもらうか、お部屋の追加料金を支払うか、になってしまいます。お部屋が用意できないときは、お客様ご自身で他のお宿を予約することにもなります。施設には、宿泊料金が入っていないため、お客様がAgodaやエージェントの業者に連絡しないと返金してもらえません。トラブルについて、過去にAgoda側に改善を申し入れましたが、契約していませんので、具体的な対応はありませんでした」

「第三者のサプライヤーとも連携」認め、「必要に応じて再評価」

   旅行業者を管轄している観光庁では、Agodaを巡るこのようなトラブルについてどう考えているのか。

   同庁の観光産業課は6月27日、主に「予約して来たが部屋がなかった」といったトラブルが耳に入ったため、Agoda日本法人に3月に初めて業務改善を申し入れたと取材に明らかにした。

「Agoda側からは、トラブルの内容や改善策を社内で確認している状況だと聞いています。申し入れへの回答は、まだ来ていません」

   同社の予約サイトで空室の転売がされているのか、インバウンド客とのトラブルが多いのか、などについては、現時点では、確認されていないとした。

   トラブルについては、Agodaの日本語公式Xなどに、ホテルに確認したら部屋が確保されていなかった、などの問い合わせが日本語や英語で相次いでおり、Agoda側がリプライで対応に追われていた。

   予約サイトで空室が転売されているのは事実かなどについて、Agoda日本法人に取材すると、25日にメールでこう答えた。

「アゴダでは、お客様に最良の料金を提供することを最優先としており、業界の標準的な慣行に則り、ホテルからの直接仕入れだけでなく、第三者のサプライヤーとも連携しています。大多数のお客様には、弊社プラットフォームを通じてスムーズで快適な予約体験をお楽しみいただいております」

   相次いでいるトラブルへの対処などについて質問すると、こう述べた。

「アゴダは、すべてのお客様により良い予約体験をお届けできるよう、サプライヤーとの連携強化や業務プロセスの改善に継続的に取り組んでおります。必要に応じて一部サプライヤーの再評価も含め、プロセスの厳格化に向けたさまざまな施策を検討しています。万が一お客様にご不便が生じた場合は、当社のカスタマーサポートチームがサポートいたします」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

記事提供元:タビリス