SBI北尾会長、メディア・IT・金融融合のプラットフォーム Xに対抗「巨大メディア作る」 ITイベントレポート:TIDE&WAVE
2025/3/10 15:45 ジョルダンニュース編集部
地方創生に向けび地方メディアとの連携、インフルエンサーを巻き込んだ仕組みも
金融大手SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は3月7日、金融業界の大型カンファレンス、フィンテック・サミット「FIN/SUM」(金融庁・日本経済新聞社共催)で講演した。日本の金融分野におけるデジタル化の遅れを指摘し、メディア・IT・金融を融合した新たなプラットフォーム構築の必要性を訴えた。特に、米実業家イーロン・マスク氏が買収したX(旧Twitter)の動向を注視し、対抗策を急ぐ考えを示した。
講演のテーマは「デジタルテクノロジーが燈す変革の道標」。北尾氏は「FIN/SUM」のオープニングキーノートを長年務めていたが、2022年で一旦退いた。今回、3年ぶりの復帰となった。

北尾氏は、まずメディア業界の現状について、インターネット広告がテレビ広告を上回る時代になったと指摘。「テレビ離れ」が急速に進む現状を踏まえ、日本のメディア業界全体のデジタル化が遅れていると危機感を示した。
その上で、米国ではメディアとIT、金融の融合が急速に進んでいると現状を分析した。特に、トランプ前大統領が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」や、マスク氏がXを買収し、決済プラットフォーム「Xマネー」の構想を打ち出していることなどを例に挙げ、「グズグズしていると、Xを通じて日本の金融にどんどん入ってこられる」と述べた。
こうした「危機」に対応するため、SBIグループとして、SNS専門チームの立ち上げや他社とのアライアンス、グループ全体の情報発信の強化などに取り組む考えを示した。
さらに、地方創生に向け、地方メディアとの連携にも意欲を示した。地方の新聞社や放送局と連携し、「SBIグループの金融ITの知見と地方メディアのネットワークを組み合わせることで、新たなビジネスモデルを構築できる」と語った。 注目すべきは、インフルエンサーを巻き込んだ巨大メディア構想だ。北尾氏は、堀江貴文氏ら多くのインフルエンサーと連携し、「SBIグループが持つ金融ITの基盤と融合させることで、巨大なメディアプラットフォームを構築する」との新しいメディア構想を語った。

北尾氏は「日本の金融業界は、海外勢に比べてデジタル化が遅れている」と危機感を募らせている。今回の講演は、メディア・IT・金融の融合によって、巻き返しを図ろうという強い意志を示したものと言えるだろう。
ジョルダンニュース編集部