トヨタ、モビリティの未来図を鮮烈に描く 自動車の枠超えたイノベーションも披露 2025年ジャパンモビリティショー

ジョルダンニュース編集部

トヨタ自動車は2025年のジャパンモビリティショーで、従来の自動車メーカーの枠を大きく超え、「誰もが自由に動ける」というビジョンを具現化した多様なイノベーションを披露した。陸・海・空にわたる次世代モビリティの提案は、暮らしや社会を支える新たな価値創造の姿勢を鮮明に打ち出した。豊田章男会長が掲げる「Mobility for All」という理念、つまり、すべての人に移動の自由をもたらすという創業以来の夢を形にした展示だった。

レクサスブースでは、陸上にとどまらない新たなライフスタイルの提案が目を引いた。トヨタが参画する先進的なeVTOL(電動垂直離着陸機)「Joby S4」の巨大モデル展示は、”移動の自由”を空へと拡張する未来像を示した。自動車に限らず船や航空機、さらには別荘や空を含む、次世代の豊かなくつろぎの空間の提案となった。

トヨタが参画する先進的なeVTOL(電動垂直離着陸機)「Joby S4」

「レクサス カタマラン(LEXUS Catamaran)」は、海上での優雅な時間を提供する双胴船モデルとして、日常から解放された”オフグリッド”な時間を楽しむための空間を表現した。

トヨタはスポーツや健康、アクセシビリティの分野でも革新的なモビリティを提案した。手だけでなく全身を使って操作できるスポーツモビリティ「boost me」や、四足歩行で進化したバリアフリー志向の「walk me」は、健常者も障害者も同じ土俵でスポーツや移動を楽しめる社会の実現に挑戦する姿勢を示している。

スポーツモビリティ「boost me」(左端)や、四足歩行で進化したバリアフリー志向の「walk me」(椅子状の3台)

同時に、次世代の子供たちに寄り添う「TOYOTA Kids mobi」も注目を集めた。これまで大人のものだったモビリティの常識を覆し、AIや自動運転技術を活用して子どもでも安心・安全に利用できるパーソナルな移動手段を提案した。会場では実際に子どもたちによる操作体験も行われた。

子供向けモビリティの「TOYOTA Kids mobi」

途上国や新興国のマーケットへの対応も表現された。アフリカなど多様な地域のニーズに応える「IMV Origin」は、簡単に組み立てられる構造や、現地での雇用創出を目指す点で画期的と言える。運転席や荷台がむき出しになったシンプルな形状は、現地の労働者や運営者が自ら組み立て、修理できる自動車として位置づけられる。現地での車づくりを通じて地域の課題解決と自立支援をつなぐ、トヨタの企業姿勢を象徴するモデルだ。

アフリカなど多様な地域のニーズに応える「IMV Origin」

トヨタはまた、将来の日本が直面するエネルギー安全保障の課題に対応するため、2018年に立ち上げた「マザーシッププロジェクト」の進化形も披露した。特殊な凧(カイト)を1万メートル上空に浮かべ、空中発電や通信・物流インフラを担う仕組みだ。

特殊な凧を1万メートル上空に浮かべる「マザーシッププロジェクト」。空中発電などに利用する

トヨタの展示は、一連のプロダクトと技術、ビジョンの提示は、”クルマづくり”を超えて、人間の自由や社会課題の解決を起点に事業領域を拡張するトヨタの企業姿勢を明確に示した。2025年のジャパンモビリティショーは、トヨタがモビリティカンパニーとしての進化の新たなステージに入ったことを示す象徴的な場となった。創業者、豊田佐吉氏の遺訓「研究と創造に心を致し 常に時流に先んずべし」という豊田綱領の精神を受け継いだ未来創生への取り組みとなった。

1936年4月、トヨタ初の生産型乗用車「AA型乗用車」が完成した
記事提供元:タビリス