観光に「Web3」、HISやJR九州など取り組み加速 観光基本計画に初めて明記
2026/4/16 18:20 ジョルダンニュース編集部

日本Web3ツーリズム協会などは4月7日、東京都内で「ツーリズム×Web3」をテーマにしたトークセッションを開催した。3月に閣議決定された政府の次期「観光立国推進基本計画(2026年度〜2030年度)」において、Web3の活用が初めて明記されたことを受け、緊急開催された。日本の観光産業は、地方への誘客不足、地域を担う人材や資金の慢性的な不足、高い仲介手数料といった課題を抱える。打開策として期待されるのがWeb3の活用だ。NFTやトークンを通じた「関係人口(デジタル住民)」の創出で地方誘客や人材不足を補うほか、地域ならではの特別体験をNFT化し、海外から直接資金を調達する仕組みが始動している。エイチ・アイ・エス(HIS)や九州旅客鉄道(JR九州)など、各界の最前線で事業を進める担当者が、観光産業におけるWeb3実装の最新事例を報告した。

このパネルディスカッションは、Web3とAIの大型イベント「TEAMZ2026」の公式サイドイベントとして、同じ会場(八芳園)で開催された。
一般社団法人日本Web3ツーリズム協会の代表理事である岩下拓氏は、政府の新計画において、「Web3」の記載が限定的とはいえ、明文化されたことを前向きに評価した。「まずは観光庁が掲げる基本計画に入ったというところで、ここからがスタート」と語った。NFTを活用して「地方への誘客」「地域経営者・人材不足の解決」「資金不足の解決」「消費単価の向上」という4つの課題解決を目指す方針が示され、岩下氏は「今のインターネットのようにWeb3が業界のインフラになる」と将来を見据えた。


事業者側からは、具体的なサービス拡張の事例が相次いで報告された。JR九州でNFTプロジェクトファウンダーを務める牛島卓二氏は、自社のプロジェクトを新たに「Next Favorite Things」に改称したことを報告した。同サービスは「関係人口を増やす地域創生DXツール」として位置づけられており、スタンプ型の蓄積機能やマルチチェーン対応など、体験価値を上げる機能拡張を行っている。牛島氏は、「旅先で体験をNFTとしてゲットし、溜まっていくと特典につながっていく。これを鉄道や地域などの”リアル”にしっかり絡めていくのが我々のプロダクトだ」と述べ、一過性に終わらない顧客との関係構築に関するNFTの重要性を語った。



HISのWeb3事業グループでグループリーダーを務める山谷和洋氏は、写真共有とリワードを組み合わせた新サービス「(仮称)たびシェア」の構想を明らかにした。スマートフォン上で2枚の絶景写真から1枚を直感的に選ぶと独自ポイントが貯まる仕組みを検討している。山谷氏は、「誰もが地域の魅力を発信することができて、その貢献度に応じてリワードが得られるようなエコサイクルを実現していこうと進めている」と説明した。また、長野県木曽町開田高原で展開する「木曽馬みらいラボ」では、支援度合いに応じて「フレンドシップ」「シティズンシップ」「ファミリーシップ」といった3段階のプランを用意し、トークンを*通じた新たな関係人口の創出に取り組んでいる。

一方で、本格的な普及に向けては課題も山積している。「法規制・税務・会計」の整備だけでなく、「技術(ユーザー体験設計の未成熟)」「ユースケースの不足」、そして根本的な「ユーザー・市場規模」の課題が各レイヤーに存在することが共有された。登壇者らは、共同販売や事業者間のノウハウ共有を通じてこれらの課題を乗り越え、観光産業のエコシステム全体を底上げしていく姿勢を見せた。









