新型原子炉開発の南ア企業モズウェリが1位 クライメートテック国内決勝ClimateLaunchpad Japan National Finals 2026

ジョルダンニュース編集部

世界最大級のグリーンビジネス・アイデア・コンペの日本国内決勝「ClimateLaunchpad Japan National Finals 2026」が2026年8月6日、都内で開催され、南アフリカ発の小型モジュール炉(SMR)開発新興企業モズウェリ(Mozweli)が1位になった。日本開催5周年の今大会には国内外から新興10社が登壇し、脱炭素と産業革新を両立するビジネスプランを競った。上位3社は同年8月21日のアジア太平洋地域予選(オンライン形式)に進み、シンガポールでの世界大会出場を狙う。

▪世界最大級のクライメート技術コンペ 日本開催5周年

気候変動対策と経済成長の両立が世界の最優先課題となる中、初期段階のスタートアップを支援する世界規模の枠組みが日本でも存在感を増している。主催の「PDIE Group」は、起業家や大企業、投資家を繋ぐ目的志向のエコシステムであり、過去5年間に国内で50社超のクライメートスタートアップを育成してきた。

ナショナルリードを務めるクリスチャン・シュミッツ(Christian Schmitz)氏は冒頭、開催日の8月6日が広島の原爆忌であり、直前に熊本で地震が発生したことに触れ、「自然の脅威や過去の歴史を前に、今と未来に向けて何ができるかを共に省みる必要がある」として1分間の黙祷を呼びかけた。シュミッツ氏は「地政学的緊張や技術の急進が進む困難な時代、技術を素晴らしい構築に使うか、破壊に使うかは我々の社会的・道徳的責任だ。このコンペは希望の光であり、責任と勇気を選択し、より良い未来を共創したい」と力強く語った。

ClimateLaunchpad Japan National Finals 2026を主催するPDIE Groupのクリスチャン・シュミッツ氏

オランダのデルフト工科大学(TU Delft)発祥の「ClimateLaunchpad」の日本代表決定戦となる今大会では、AIや防災、資源循環など多岐にわたる分野の技術が競われた。

1位になったモズウェリのピッチには、財務担当のRIVASHNEE SINGH氏がリモートで登壇した。同社は、ドイツで30年前に研究され同国が閉鎖したプログラムを南アフリカ(15年前に同社設立)が継承した独自の知的財産(IP)を保有する。同社はメルトダウンのリスクがないペブルベッド型SMRを開発しており、初期 18〜24 カ月の規制手続きや実証準備として約3500万ユーロ(約56億円)の資金調達を計画する。

1位になったモズウェリは、リモートでのピッチだった

安全性について、使用済み燃料はIAEAの基準に準拠した安全なコンテナによる乾式貯蔵パッケージで地下保管する。地震リスクに対しては、原子炉はローラーベアリング上の耐震設計であり、燃料ペレット内に9000個以上のグラファイト製ミニボールを封入したペブル構造であり、金属不使用のため停電時も自動停止し炉心溶融を起こさない固有の安全性を持つという。

2位の「TMD4Society」は、ナノバブル技術を融合させた独自の循環型バイオエコノミーモデルを構築し、資源循環の新たな標準化を狙う。

3位の「BANASHREE JAPAN」は、インド発の半導体新興企業で、自動車用半導体やAIデータセンターの電気効率を高めるIPライセンスや設計ツール(EDA)を開発する。ピッチに登壇したSujan Sanku氏は「既存の競合大手は、効率向上のためにチップ面積拡大や熱の増加を甘受せねばならなかったが、我々はこれらを一切犠牲にせず高効率化を実現し、製品開発期間を約60%削減できる」と強調した。

同社はすでに国内大手(キオクシアやTSMCジャパン、ラピダス等)と交渉を進め、1年目から有料POCを通じて75万ユーロ(約1億2000万円)の売上を見込む。5年以内のユニコーン企業入りを目指す。

3位の「BANASHREE JAPAN」は、インド発の半導体新興企業

今大会で示されたクライメートテックは、既存の産業構造やエネルギー市場に破壊的な変革をもたらす可能性がある。協賛のバンク・オブ・アメリカは、2030年までに1.5兆ドルのサステナブル・ファイナンスを供給する目標を掲げる。初期段階の技術への投資を後押しする。

▪アイデアから社会実装へ 支援のエコシステム

今回発表された有望な事業モデルが気候変動の解決に実効的なインパクトをもたらすには、アイデア段階から商業実装への移行という最大の壁を克服しなければならない。シュミッツ氏は「我々の役割は機会をもたらし、人々を繋ぎ未来を築くのを支援する『コネクター・ビルダー』だ」と語った。

日本開催5年で50社超を輩出し、クライメートテック創出の裾野を広げた本大会。上位3チームが、アジア太平洋地域予選、そして世界大会へと駒を進める。新技術が実装ステージを迅速に駆け抜け、実際の市場で二酸化炭素削減や資源循環を実現できるか、エコシステムとしての「実装力」が今、問われている。

ファイナリストや審査員、主催者らによる記念写真
記事提供元:タビリス