80歳社長が東証上場!ゴルフカートナビのテクノクラフト、DXで海外・医療へ
2026/9/22 11:51 ジョルダンニュース編集部

ゴルフカートナビシステムで国内シェア6割強を誇る株式会社テクノクラフトは9月18日、東京証券取引所スタンダード市場に上場した。1995年の創業以来培った位置情報技術を強みに、機器売り切り型から月額継続課金(リカーリング)モデルへの転換を進めている。説明会に登登した創業者で代表取締役社長の栂坂昌業氏は、80歳での上場決断とガバナンス強化の狙いを明確にするとともに、ゴルフ場のプラットフォーム化と医療分野への事業拡張による成長戦略を提示した。
この日の初値は620円で、公開価格(650円)を4.6%下回った。終値は559円だった。終値ベースの時価総額は26億1900万円。

上場決断と収益構造の転換
テクノクラフトは、ハードとソフトを一体提供する「HESaaS(Hardware-Embedded Software as a Service)」型の事業モデルを確立している。ゴルフカートナビ事業をへ参入し、2016年のモバイル通信網拡張を機に「無線型」売り切り型から「タブレット型」リカーリングモデルへ転換した。
26年9月期の単独売上高は前期比4%増の24億円、税引き利益は3.1倍の1億9800万円を見込む。
質疑応答で上場の理由を問われた栂坂社長は、「80歳を迎えるにあたり、社員や顧客に対する将来的な責任をいかに果たすかを考えてきた。上場企業としてガバナンスが効く体制を整え、社外の知見を入れた指名報酬委員会を通じて透明性の高いプロセスで後継者を選定していくことが最善だと判断した」と語った。東証スタンダード市場の創業者として最高齢級となる80歳での上場は、持続可能な経営基盤と後継者計画の確立を目的としている。
ゴルフ場のプラットフォーム化とグローバル展開
国内のゴルフ場市場規模は約1兆3000億円に上る。テクノクラフトのカートナビは、運行管理を担う基幹オペレーションシステムとして機能する。カートの位置や進行遅れ、混雑状況を可視化するほか、雷警報などの安全管理機能も備える。さらに、前方映像とカート内状況を同時記録する独自特許技術「ダブルドラレコ」を展開し、事故分析やマナー向上に寄与している。
プラットフォーム構想について問われると、栂坂社長は「年間4000万人以上のプレーヤーとの接点や月間100万人を超えるスコア登録データをAIで分析している」と明かした。蓄積したビッグデータを活用し、ゴルフ場側の動線最適化やプレーヤーの利便性向上を図る構想。
海外戦略に関して、栂坂社長は「アジアでは従来キャディの配置が主流だったが、近年は人件費高騰と人手不足が生じている」と指摘した。日本が経験した運行管理の自動化ニーズがアジア全域で顕在化しており、韓国やアジア諸国の約3000コースを標的とする。同社は2026年9月よりタイでモデルコースを開設し、東南アジア展開を本格化させる方針だ。
医療見守り領域への多角化と経営展望
同社はゴルフDXで確立した技術基盤を横展開し、第2の成長柱として健康見守り事業の育成を進めている。医療機器認定取得済みのウェアラブルデバイス「バイタルナビ」は、血圧や脈拍、血中酸素濃度(SpO2)などのバイタルデータを自動取得しクラウドで一元管理する。建設現場向けには熱中症対策支援サービス「テクノバンド」を展開する。
2026年4月の診療報酬改定にともなうオンライン診療の要件緩和や対象拡大により、院外での患者状態把握の重要性が高まるなか、同社のシステムは看護師の業務負担軽減や在宅高齢者の見守りニーズに対応する。現在、大手医療機器メーカーや専門商社と連携し、複数の国立大学病院でPoC(概念実証)を実施中だ。

株主還元や資金使途について、栂坂社長は、「調達資金はAI基盤構築や新製品開発に優先配分し、早期に安定した利益体質を構築する。タブレット型への移行により年間1コースあたり約100万円のリカーリング収益が積み上がっており、企業価値向上に取り組む」と強調した。また、上場に至るまでの地元からの資金調達について、栂坂社長は「新潟の地元の皆様からの手厚い応援があったからこそ上場を果たせた。全国に向けて地方発の成功モデルを示したい」と述べた。
ゴルフ事業のストック収益を原資に、AIプラットフォーム化、海外開拓、医療分野への多角化を推進する同社の経営戦略は、地方発テック企業の成長モデルとして注目される。急速な事業拡大に伴う開発リソースの最適配分と、透明性の高い経営継承の実行が今後の成長の鍵を握る。
(ジョルダンニュース編集部)









