GMOとアパレルのユナイテッドアローズ、ヒューマノイド専用服を共同開発
2026/10/22 22:05 ジョルダンニュース編集部

GMOインターネットグループ傘下のGMO AI & ロボティクス商事(GMO AIR)とアパレルのユナイテッドアローズは2026年10月20日、人型ロボット(ヒューマノイド)専用のオリジナルウェアを共同開発し、同日より受注受付を開始したと発表した。深刻な労働力不足を背景に人型ロボットの社会実装が本格化するなか、服を着用させることで機体特有の威圧感を軽減し、店舗や受付などの現場において人間とロボットが心地よく共生できる環境を整える狙いがある。アパレル大手が持つ高いデザイン力と最先端のロボティクス技術を融合させた新たなB2Bユニフォーム事業として注目を集めそうだ。

ロボット特有の構造や排熱機構に対応
両社は2026年10月20日、東京都渋谷区の「GMOヒューマノイド・ラボ」で、「GMO AI&ロボティクス商事・ユナイテッドアローズ 共同記者発表会」を開催した。主催者であるGMO AIRとユナイテッドアローズは、共同開発したヒューマノイド向けオリジナルウェアの実機を披露し、デモンストレーションを実施した。
発表会では、中国Unitree(ユニツリー)社製の小型ヒューマノイド「G1」を対象機種とするジャケット、パンツ、Tシャツ、スカーフの4アイテムが公開された。デザインコンセプトには「ユニセックス」と「ユニフォーム」を掲げ、メタリックな機体の質感になじむライトグレーのカラーリングを採用した。
開発においては、人間とは大きく異なるロボット特有の身体構造や可動域、稼働時に発生する熱対策が最大の課題となった。関節やギアへの干渉を防ぎながら美しいシルエットを追求するため、裏地を省くなどの構造的工夫が施されている。デザインを担当したユナイテッドアローズの担当者は「人間とは異なる関節の動きに対応し、モーターの巻き込みを防ぐため裏地を省いた。平面的になりがちだが、パターンの技術を生かしてスーツらしい立体的な美しいシルエットを追求した」と開発の舞台裏を明かす。さらに、首の後ろにある配線コードを隠すスカーフやダミーのベルトループなど細部まで趣向を凝らした。

同日18時から、GMO AIRのお問い合わせフォームで受付を開始し、11月20日には公式ECサイト「GMO ヒューマノイド.shop」で特設ページを開設して予約販売を開始する。当面は10着程度の小ロットから柔軟に対応し、導入企業の用途に応じたカスタマイズも視野に入れる方針だ。
「威圧感」を「親しみ」へ変える経営戦略
今回の共同開発の背景には、人手不足の深刻化と人型ロボットの活用領域の広がりがある。従来は工場や物流倉庫などのバックヤード中心であったロボット活用が、商業施設や企業の受付、イベント会場など、一般の人々と直接対面する空間へ広がっている。
しかし、露出した金属や樹脂の筐体は「威圧感がある」「冷たい」といった心理的障壁を生みやすい。GMO AIRでの事業開発担当者は「派遣サービスや実証実験の現場で、顧客から『服を着せてもよいか』『自社の制服を着せたい』との要望が多く寄せられていた。服を纏うことで親しみや愛着が生まれ、コミュニケーションが円滑になる」と現場の反響を語る。
本取り組みは、GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏が「日本の国力を高めるにはヒューマノイドの活用が不可欠であり、上質な服作りを行う日本のブランドと組みたい」とユナイテッドアローズに提案したことが契機となった。ユナイテッドアローズの担当者は「単にロボットの服を作るにとどまらず、人とロボットが心地よく共生する文化とライフスタイルをデザインする挑戦だ。装いが変われば未来も変わると信じている」と述べ、企業向けユニフォーム事業「PRODUCED by UNITED ARROWS」の知見を注ぐ構えを示した。
B2Bユニフォームの進化とマクロ経済への波及効果
人型ロボット向けアパレル市場は現時点では黎明期にあるが、その成長ポテンシャルは極めて高い。生成AIとの融合で会話や動作精度が劇的に向上したヒューマノイドの一般社会への進出が進むにつれ、専用ウェアの需要は急速に拡大すると予測される。

従来のアパレルにおける法人ユニフォーム市場はオフィスウェアや店舗の接客服が主であったが、ヒューマノイドの参入に伴い、専用ウェアは「企業のブランディング」や「顧客体験の向上」に直結する重要な経営資源となる。店舗に合わせたオーダーメイド衣装や特定現場の作業服など、高付加価値なB2Bアパレルとして新たな市場を創出する可能性がある。
課題として、機種ごとの可動域や排熱処理への個別の最適化、耐候性の確保などが挙げられる。両社は今後、企業ロゴ入れや職種別ユニフォーム展開など、多様なニーズに応じた開発を進める方針だ。
生産年齢人口の減少に伴う労働力不足に直面する日本において、ロボットとの協働は避けて通れない。先端技術に「温かみ」と「美意識」を与えるファッションの融合は、日本のロボティクス産業の社会的受容性を高める試みとして今後の波及効果が期待される。
(ジョルダンニュース編集部)









