肌上で汗をすばやく広げ、速く乾かす技術を開発
2025/11/27 13:57 PR TIMES

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)スキンケア研究所は、汗を肌上ですばやく広げることで、速く乾かす技術(汗蒸散技術)を開発しました。これにより、肌上で蒸散することで熱を奪って体を冷ますという汗本来の機能を活かしつつ、暑熱環境下でも不快なベタつきを軽減し肌を快適に保つことが期待できます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/70897/591/70897-591-5b6c0ee9fbded2bc8eb0a53f432c41b5-3900x2000.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
今回の研究成果の一部は、第3回日本化粧品技術者会学術大会(2025年12月8~10日・神奈川県)にて発表予定です。
背景
地球温暖化による健康や暮らしへの影響が社会課題となっている中、日常生活では、国や地域を問わず多くの人々が汗の不快感(ベタつき・ニオイ)に煩わされています。一方、汗は、蒸散する際に肌の熱を奪って体を冷やす機能があり、体温調節に寄与しています。そのため花王は、汗の分泌を止めるというアプローチではなく、本来の機能を活かしながら肌を快適に保つことをめざして、汗の本質研究に取り組んできました。その成果として、これまでに、汗中の塩化ナトリウムなどが汗を乾きにくくしていること、さらに、汗と皮脂が混ざり合って不快感をもたらすことを確認し、塩化ナトリウムと皮脂を吸着する素材として、多孔質シリカ*1を見いだしてきました。しかし、暑熱環境下などでは、発汗量が過剰に増えるので、肌上に汗が乾ききらず残ってしまいます。そこで今回花王は、汗を蒸散しやすくする新たな技術開発に取り組みました。
*1 無数の小さな穴を持つ二酸化ケイ素。比表面積が大きく、塩化ナトリウムや皮脂などを吸着できる。
汗を肌表面に広げ、速く乾かす汗蒸散技術
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/70897/591/70897-591-5cd4433c0854782fe2f2cf94b76c3371-2157x518.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図1. 疎水表面、親水表面における汗の様子(イメージ)ヒトの肌は疎水的なため、汗が滴状になり、ぬれ広がりにくい性質があります(図1)。そこで花王は、肌の上に汗となじみやすくなる膜を作れば、出てきた汗が肌上ですばやく広がり、蒸散スピードを促進できるのではと考えました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/70897/591/70897-591-8bf98dd7591ef3463cbb3fe52d4d0d46-3667x1057.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図2. プラスチック基板表面に素材を塗布した際の水の接触角
親水性の膜をつくる素材を探索するため、さまざまな素材をプラスチック基板に塗布し、水を滴下して30秒後の接触角を測定する実験を行いました。接触角が小さいほど、基板表面に水がぬれ広がりやすくなっていることを示します。その結果、特定の親水性板状粉体を塗布すると、滴下した水の接触角が小さくなることが確認できました。また、特定の親水性板状粉体と多孔質シリカを組み合わせると、接触角はさらに小さくなり、水がすばやくぬれ広がることが分かりました(図2)。
汗蒸散技術を用いると蒸散時間が短縮
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/70897/591/70897-591-8d1e8a6e3337b367563a8398f07c6220-1315x1070.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図3. 人工汗の蒸散時間の比較肌に見立てた人工皮革を用いて、汗のぬれ広がる表面積を広くすると、速く乾きやすくなるかどうかを確認しました。親水性板状粉体と多孔質シリカを配合したプロトタイプ製剤を人工皮革に塗布し、その上に人工汗*2を噴霧して、蒸散するまでの時間を測定*3しました。その結果、プロトタイプ製剤を塗布した人工皮革での蒸散時間は、未塗布と比べて約33%短くなることが確認できました(図3)。
*2 水に塩化ナトリウムや乳酸を加えた溶液。
*3 30℃湿度60%の暑熱環境下で人工汗が60%蒸散するまでの時間を測定。
まとめ
今回花王は、肌上で汗を速く乾かす技術を開発しました。本技術は、汗をかきやすい暑熱環境下において肌を快適に保つことに加え、過剰な発汗を防ぎ汗本来の機能をサポートできる可能性があります。今後も、汗の本質研究を深め、生活者が暑熱環境下で感じる汗由来の不快感低減をめざし、研究を進めていきます。
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記事提供元:タビリス









