ふるさと納税、仲介サイトに支払われる1490億円 自治体は赤字続出、ポイントは禁止...得しているのは誰
2026/9/1 12:10 J-CASTニュース

2025年度のふるさと納税で、19都府県が受け入れ額より流出額の方が多い「赤字」になったと朝日新聞が2026年8月26日に報じた。東京都の赤字は2255億円に上り、続いて神奈川県846億円、大阪府489億円、埼玉県481億円、愛知県469億円など、3大都市圏で大きな赤字が出ているとしている。
2025年10月からは、ふるさと納税の寄付額に応じて仲介サイトがポイントを付与することが禁止された。利用者にとってはメリットが一つ減った格好だ。他方、自治体からは仲介サイトの運営事業者に年間1400億円を超える手数料が支払われている。
それでも2025年度の寄付総額は約1兆3314億円と過去最高を更新した。自治体は苦しみ、利用者のお得感は薄れる一方、市場は拡大し、仲介業者には多額の手数料が流れている。ふるさと納税は、いったい誰のための制度になっているのだろうか。
全国の自治体を合計しても863億円の赤字
東京などの都市部から地方へ税収が移ること自体は、ふるさと納税の正当な役割の一つといえる。ところが、会計検査院が2026年6月に公表した調査結果によると、2024年度は自治体全体の決算でも赤字となったことがわかった。
同年度の寄付総額は約1兆2728億円だったが、そこから住民税控除による約7688億円、返礼品の調達や仲介サイトへの手数料、送料などの経費約5901億円を差し引くと、約863億円の赤字になったという。収支がプラスになる自治体もあるが、17年度以降は20、21年度を除いて全体では赤字が続いており、17年度に約157億円だった赤字額も拡大している。経費は5年前と比べて2.6倍となった。
経費増大の大きな要因となっているのが、ふるさと納税の仲介サイトだ。代表的なサイトとしては、楽天ふるさと納税、さとふる、ふるなび、ふるさとチョイスなどがある。
総務省が5月に公表した調査結果によると、2024年度は全国1788自治体への寄付総額1兆2728億円のうち、94.5%に当たる1兆2025億円が仲介サイトを経由した。自治体からサイト運営事業者への「手数料」(広報や事務費等)の支払額は1379億円に上り、仲介サイトを経由した寄付金1兆2025億円のうち11.5%が事業者へ流れたことになる。
共同通信によると、手数料総額の90.6%に当たる1249億円が上位4社に集中しており、うち3社では寄付総額に占める手数料の割合が10%を超えていた。
産経新聞などの報道によると、事業者に高額な手数料の引き下げを求めた自治体からは「個別交渉は受け付けないと取り付く島もない状況」「必要なければ契約しなければよいという対応をされた」などの声が寄せられ、手数料の詳細も開示されないなど、仲介業者優位の構造が浮き彫りとなったという。その後も手数料は増え、2025年度には1490億円に達している。
現在のふるさと納税では、多額の「手数料」によって仲介業者が潤う構造が定着している。実際、大手の一角には高い利益を上げている企業もある。
有価証券報告書によると、「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは2026年3月期、売上高約235億円、経常利益約107億円を計上。経常利益率は約45%に達した。
総務省は各事業者や業界団体に手数料の引き下げを要請し、格安手数料を掲げて新規参入する仲介業者も出てきているが、業界の構造が変わるかどうかは現時点で不透明だ。
多くの利用者が反対だった「ポイント付与禁止」
一方、利用者には2025年10月、大きな制度変更があった。ふるさと納税の寄付に対し、仲介サイトが独自にポイントを付与することが禁止になったのだ。楽天ふるさと納税では通常ポイントだけでなく、「お買い物マラソン」などのキャンペーンによるポイントも対象外になった。
制度変更前に「さとふる」が7015人を対象に行った調査では、ポイント付与禁止に70.7%が「反対」と回答。理由では「寄付者のメリットが減少するから」が66.1%に上った。この制度変更により、利用者の「お得感」は確実に薄れたといえる。
また、自治体の返礼品競争の過熱も問題になっている。寄付を集めるには、知名度の高い特産品や割安感のある返礼品をそろえる必要があり、人気商品を持つ自治体とそうでない地域の格差が広がりやすい。競争激化の影響で産地偽装や不適正表示などの不祥事も相次いでおり、制度のゆがみを生む一因になっている。
寄付額は過去最高...ふるさと納税の巨大市場は誰のため?
総務省によると、2025年度の寄付総額は前年度比4.6%増の約1兆3314億2800万円。6年連続で過去最高を更新し、寄付件数も約5963万件と過去最多だった。
しかし、自治体は赤字や返礼品競争に苦しみ、利用者のお得感が薄れ、その一方で自治体から多額の手数料を受け取る大手の仲介業者は潤っている。所得などにより控除上限額が変わることから、「高所得者ほど得をする」とされる構造もある。
寄付額が過去最高だからといって、この状況が続けば利用者や自治体が離れ、いずれ制度自体が縮小していく可能性は十分にある。ふるさと納税は誰のためのものなのか──。もう一度原点に立ち戻って制度改革を進めることが、「オワコン化」を防ぐ鍵になりそうだ。









