なぜ昔の「青春18きっぷ」は「使いやすかった」のか 使い方が激変、きっぷの性格まで変わる

J-CASTニュース

   夏の旅行シーズンが到来。「青春18きっぷ」を使って旅行を計画している人もいるではないだろうか。

   そんな「青春18きっぷ」だが、2024年冬季から大きく変わった。「自動改札対応」を名目に5日間の連続使用が前提となり、新たに3日間用も設けられた。さらに、1枚の「青春18きっぷ」を複数人で使用することもできなくなった。きっぷの形態が変わってしまったことで、使い勝手が悪くなってしまった。

以前の「青春18きっぷ」は、どんなきっぷだった?

   以前の「青春18きっぷ」に3日間用はなかったが、その代わり使い方に融通が利いた。1枚の券に5日分の日付欄が印刷されており、使用可能期間内ならいつ使ってもよかった。たとえば3日間と2日間の利用を組み合わせるといったことが可能だった。また、同一行程なら複数人で同じきっぷを使用することもできた。

   改札で駅員に日付入りのスタンプを押してもらえば、その日1日使える。シンプルな仕組みだった。この形態は、1996年春季から始まる歴史の長いものだった。

   さらに以前は、もっと自由だった。1984年夏季からの形態では、1日券5枚が回数券のように綴られており、一緒に旅行する人にあらかじめ配っておくこともできた。さらにさかのぼり、1982年春季に「青春18のびのびきっぷ」が登場した際は、1日券3枚と2日券1枚の組み合わせだった。

長距離普通列車の利用促進

   なぜその時代に2日連続の券があったのか? 1980年代には、長距離を走る普通列車が多かった。夜を徹して運行する普通列車もあった。2日券は、こうした夜行利用を意識したものだ。夜行普通列車を上手に使用することで、長距離の旅が格安でできる状態だった。東京~大垣間には、全車自由席の夜行列車が走り、天王寺~新宮間にも(片道のみだが)夜行の列車が設定されていた。

   JRになってからは、指定席券と「青春18きっぷ」で乗れる夜行快速が各地で運行された。「青春18きっぷ」の利用者をターゲットにした列車といえる。新宿~新潟・村上の「ムーンライト」や、函館~札幌の「ミッドナイト」という列車もあった。安く旅をしたい人の需要を喚起するため、「青春18きっぷ」にあわせて、さまざまな列車が運行された。

   ところが、「安さ」を求める層に向けた商品から、思わぬ問題が生じてしまう。

金券ショップでのバラ売り対策や自動改札機の普及

   5枚一綴りだと、余った分を金券ショップに売る人が出てくる。金券ショップが仕入れて、バラ売りをすることも起きた。その対策のために、1枚券で5日分の日付を入れるようにした。ところが、それでも2日から3日使用した券を売る人が出てくる。

   あわせて、自動改札機の普及が進み、地方でも多くの駅に導入されて、改札の係員が減った。係員のいない改札も、いまではよく見かける。

   昔の「青春18きっぷ」は使いやすかった......。そう懐かしむと同時に、いまの時代に合ったかたちにするにはどうすればいいかを考える必要もあるだろう。きっぷのありようが変わってしまったのは、やはり残念だ。

(小林拓矢)



【プロフィール】
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。

記事提供元:タビリス