川越観光の魅力、すべて伝えます③ 日本百名城、川越城の七不思議

ジョルダンニュース編集部

 多くの観光客でにぎわう川越は、かつて城下町として発展しました。その中心となったのが川越城です。江戸時代初期には広大な城郭が存在していました。その後、明治時代以降に縮小し、現在は本丸御殿など一部の建物が残っているだけです。日本で本丸御殿が現存しているのは、この川越城と四国の高知城のみとなっており、大変貴重な歴史的遺産です。また、この川越城は日本百名城の1つに数えられています。

本丸御殿が現存する日本でも珍しい川越城

 この川越城本丸御殿は、入館して見学することができます(料金は大人100円)。武士たちの人形を使った、江戸時代の会議の様子が再現された家老詰所があります。また面白いことに、この本丸御殿は戦後の一時期、地元の中学校の屋内運動場になったことがあり、大広間の天井には、当時のバレーボールが飛んでいった跡を見ることができます。

左:家老詰め所、右:大広間の天井にあるバレーボールの跡

 さて、この川越城には、お城にまつわる7つの不思議な出来事が伝説となって語り継がれています。これを「川越城七不思議」と言います。ここでは全てを紹介できませんが、川越城七不思議に関係するスポット2か所を紹介したいと思います。

「霧隠城」の由来、「霧吹きの井戸」


 まずは「霧吹きの井戸」です。
 室町~戦国時代には、川越は度々、領地を巡って戦場となりました。敵の軍勢が川越城に迫った時、この井戸の蓋を開けると・・・ 井戸の中から大量の霧が吹きだして川越城を包み込んで城を隠した、という伝説が残っています。このため川越城は「霧隠城(きりかくれじょう)」とも呼ばれています。
 現在、この井戸が川越市立博物館の敷地内に置かれており、見ることができます。

博物館の霧吹きの井戸

2つの伝説で彩られる三芳野神社


 川越城本丸御殿のすぐ近くに三芳野神社という神社があります。かつてお城の天神様を祀っていました。ここは、七不思議のうち「天神洗足の井水(てんじんみたらいのいすい)」と「初雁の杉(はつかりのすぎ)の2つの伝説に由来がある神社です。

三芳野神社の全景

 室町時代に川越城を築城した太田道真・道灌父子が、お堀に水を貯める水源を探し、三芳野神社付近を歩いていたところ、井戸水で足を洗う老人に出会い、その老人の案内により水源地を発見し、城を完成させたそうです。太田道灌は、老人の所作から、それが天神様の化身と悟り、老人と会った井戸を「天神洗足の井水」と名付けて大事にしたそうです。
 この三芳野神社には、かつて大きな杉の木があり、渡り鳥の雁が南に移動中、必ず3回この杉を周って3回鳴くという伝説があります。このため川越城を別名「初雁城(はつかりじょう)」とも呼ばれます。
 現在の三芳野神社には、伝説に関連した井戸や杉の木は残っていませんが、境内には川越城七不思議の石碑が建っています。不思議な現象が起きてもおかしくないような神妙な雰囲気があります。

三芳野神社の七不思議の石碑

 今回紹介したスポットは、いずれも川越城本丸御殿のすぐ近くにあり、入場料がかかりません(本丸御殿や博物館に入場する場合には別途入場料がかかります)。
 最近は、「城ガール」なども増えており、お城の見学がブームになっているようです。「霧隠城」、「初雁城」と呼ばれ、ロマンを感じる日本百名城の1つ、川越城本丸御殿を見学する際には、一緒に七不思議伝説の現場も訪れてみると、ぐっと面白さが増すと思います。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

最寄り駅:川越駅(JR、東武東上線)、川越市駅(東武東上線)、本川越駅(西武新宿線)
小江戸川越観光協会URL:https://koedo.or.jp
※この記事には個人的感想を含みます。

田中信行(たなか・のぶゆき):1968年東京都生まれ、埼玉県育ち。埼玉大卒。全国通訳案内士、総合旅行業務取扱管理者。ローカルな観光を盛り上げるため、通訳ガイドとしての活動を目指しているほか、観光地の魅力を紹介する執筆活動も行っている。

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記事提供元:タビリス