スタートアップ界隈で注目のKOMPEITO上場 設置型健康社食、B2BサブスクとAI活用で売上高100億円へ

ジョルダンニュース編集部

設置型健康社食「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」を展開する株式会社KOMPEITO(コンペイトウ)は2026年9月11日、東京証券取引所グロース市場へ新規上場した。同社はオフィス内に専用の冷蔵・冷凍設備を置き、野菜や果物、惣菜などを従業員へ100円で提供する「B2B2E」型の定額課金(サブスクリプション)事業を展開する。ITを活用したシステム運用やAIによる購買データの分析・最適化を図ることで解約率を1.2%と低水準に抑え、導入社数は全国7,522社に達する。上場初日の株価は公開価格1,600円に対し初値1,480円、終値1,570円となった。地方銀行との提携や自社物流網を強みに、2026年8月期の連結売上高は前期比72.0%増の98億7,100万円を見込み、通期黒字化と売上高100億円突破を目指す。

◾初値時価総額は146億4,900万円

SBI証券を主幹事として実施された今回の新規上場において、公開価格1,600円に対し、初値は1,480円と公開価格を7.50%(120円)下回る「公募割れ」でのスタートとなった。しかし、初値に基づく時価総額は146億4,900万円を記録した。その後は買い戻しの動きが見られ、当日の終値は初値から90円高い1,570円で上場初日の取引を終えた。公募・売出に伴う資金吸収額は77億8,000万円で、調達資金は全額、地方銀行等の提携金融機関による紹介活動を強化する地域における広告宣伝費やプロモーション費用に充当される。

▲KOMPEITOの代表取締役CEO渡邉瞬氏

上場初日の株価推移について、同社の代表取締役CEO(最高経営責任者)である渡邉瞬氏は、「今日1日だけで一喜一憂しても仕方がない。これからしっかりとサービスを広げて、皆さんに喜んでもらえる、応援してもらえるような会社にしていきたい」と述べ、中長期的な事業拡大に集中する考えを示した。

◾「B2B2E」型サブスクモデルと財務構造の転換

KOMPEITOは2012年9月に創業し、2014年4月に主力事業である設置型健康社食「OFFICE DE YASAI(オフィスでやさい)」を開始した。経営コンサルティングファーム出身の渡邉CEOが農業セクターを担当した際、農家の販路拡大や野菜の流通課題を認識し、地域活性化を目指して起業した。初期のECや実店舗販売を経て、オフィスへの直接訪問販売をきっかけに現在の設置型社食モデルへ転換した。

同サービスは、オフィス内に専用の冷蔵・冷凍設備を設置し、サラダや惣菜などを定期配送する事業である。料金体系は配送個数に応じた月額基本料と商品代金(主に1個200円)からなる二階建て構造を持つ。市販価格300円相当の商品を従業員は100円で購入でき、残額を企業が福利厚生費として負担する「B2B2E」の収益構造を持つ。

自前で厨房設備を持てない中小小規模事業所を中心に導入が進み、導入企業の66%が従業員50人以下、81%が100人以下の事業所で占められる。顧客1社あたりの年間平均売上高(ARPU)は136万円、年換算の継続売上高(ARR)は96億4,000万円に達する。ITを活用した効率的な顧客管理や運用により月次解約率は1.2%と低い水準を維持し、限界利益率は61%を確保している。

業績推移を見ると、2025年8月期連結業績は売上高57億3,700万円、経常損益は2億4,500万円の赤字であったが、増収に伴う固定費率の低下と仕入れ原価の改善により採算性が向上した。進行期である2026年8月期の通期連結業績予想は、売上高が前期比72.0%増の98億7,100万円、経常利益が8億7,700万円、当期純利益が11億2,600万円となり、通期黒字化を達成する見込みである。

新規獲得は地銀など提携網(紹介割合67%)を活用し、営業10名で月約200社を獲得して獲得単価を10万円強に抑えた。顧客基盤は出社が必須な地方の工場や病院へシフトし、牛乳販売店の買収で配送網を内製化した。また、全体の約70%を占める自社PB商品を活用し、食材高騰時には配合見直しや重量調整を機動的に行って粗利益率を防衛している。

◾事業所給食1兆円市場の開拓とAI活用の展望

日本国内の給食市場は約3兆円規模であり、うち事業所向け給食市場は約1兆円を占める。同社がターゲットとする中小小規模事業所は全国に約70万社存在し、潜在市場規模(TAM)は1兆円弱と試算される。現在の同社市場シェアは1%未満であり、中期的に5%への引き上げを目指す。税制改正による食事補助の非課税枠倍増や「健康経営」の推進も追い風となる。

質疑応答で解約率の低減策を問われた渡邉CEOは、「これからはAIを活用し、適切な個数や種類を各社にきめ細かく提案していくことで、解約する理由をなるべく無くしていきたい。また、M&Aも含めて複数の福利厚生サービスを複合的にやっていくことで顧客単価を引き上げていく」と語り、AIによるデータ駆動型の需要予測・商品提案の導入とサービス拡張を通じて顧客生涯価値(LTV)を高める方針を示した。

▲KOMPEITOの上場会見の様子

成長戦略の総括として、渡邉CEOは「中小企業に定期的に食を届けられる独自の物流網は他社にない強みだ。国内で食と健康のインフラを目指すと同時に、昨年進出したアメリカ市場でもチャレンジを加速させ、グローバル企業へと成長していきたい」と述べた。調達資金を活用し、提携金融機関との連携強化や米国子会社での展開を進め、事業基盤の拡大を図る考えだ。

(ジョルダンニュース編集部)

記事提供元:タビリス