【世界初】VTuber「古知累すすむ」、恐竜の消化戦略に迫る国際論文を発表!
2026/7/23 1:58 PR TIMES

現役の恐竜研究者でありながらVTuberとして各種SNSで最新の化石情報を発信している「古知累すすむ」(高崎竜司;岡山理科大学)は、米国学術雑誌Paleobiologyにて恐竜の胃と消化戦略の進化に関する新説を提唱しました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-7f989066f698433422df8a28e812e557-3835x2492.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]「超」肉食性恐竜、タルボサウルス。体長8メートルを超えるティラノサウルスの近縁種で、強力な顎で獲物を骨ごとかみ砕いていた可能性が指摘されているが、大量の胃石を持つ化石が報告されている。(写真:岡山理科大学・モンゴル科学アカデミー)
ポイント
- 恐竜の食事を推定する新指標、「胃石の形」を提唱。- 丸い胃石は筋肉質な胃で植物などを磨り潰していた可能性を提唱。
- 恐竜類の胃の進化過程を初めて復元。
- 研究の詳細をYouTubeにてわかりやすく解説!
研究の概要
恐竜の胃や腸などの内臓は、化石として残ることがほとんどありません。そのため、恐竜が食べ物を体の中でどのように消化・吸収していたのかは、推定が難しい問題でした。古知累すすむ(高崎竜司)率いる本研究では、恐竜などの化石とともに見つかる「胃石」に注目し、その“形”を手がかりに、この問題に取り組みました。現生の鳥類とワニ類における胃石の形、食べ物、胃の筋肉量のデータをまとめて解析した結果、角の取れた胃石は、植物をすり潰すための筋肉質な胃の中で摩耗した結果、丸みを帯びた可能性が示されました。つまり、丸い胃石を持つ種には強力な胃をもつ植物食、角ばった胃石を持つ種には昆虫なども含む肉食性の傾向が見えたのです。
この結果を恐竜の化石記録に応用すると、歯を失った獣脚類(鳥類に至るグループ)の多くは丸い胃石を持っており、体内で植物をすり潰して消化していた可能性が見えてきました。これは、ニワトリなど現代の鳥類が「砂肝」と呼ばれる強力な胃を使って植物をすり潰すしくみと同じです。
一方で、恐竜たちはみな同じように食べ物を消化していたわけではありません。歯で処理するもの、胃で処理するもの、腸内で時間をかけて処理するものなど、グループごとに異なる消化戦略、そして胃の進化過程をもっていた可能性が見えてきました。
古知累すすむのひとこと解説
恐竜研究VTuber、古知累すすむです!今回われわれが出版した論文は、恐竜の胃の進化について。恐竜の化石と言えば巨大な骨を連想する人が多いと思いますが、そのイメージ通り、骨以外が化石になって残る事はほとんど無いんですね。特に内臓は真っ先に腐ってしまうので、恐竜の内臓がどうやって進化したのか、全然解っていません。けど、動物が食べ物を消化するにも、そこから栄養を吸収するにも、中心になるのは内臓です。だからこそ、内臓を知らずして生物の進化を語れません。しかし残念ながら、内臓は化石化しないという現実の前に、恐竜の内臓研究は停滞していました。[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-6c27f24df3164a50ebbb21029ae59cf1-498x498.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]恐竜研究者/VTuber古知累すすむ
今回わたし達は、世界で初めて恐竜の内臓進化過程を推定する事に成功しました。鍵となったのは恐竜の【胃石】。恐竜が飲み込み、胃の中に溜まった石です。これはただの石なので、当然腐ることなく、化石としても保存されます。今回の我々の研究は、胃石の形が恐竜が何を食べていたかを表し、その恐竜の胃の構造の手がかりになる可能性を提唱しました。簡単にまとめると、丸い胃石を持っている恐竜は植物を食べ、筋肉質な胃を持つ傾向に、角張った胃石を持っている恐竜は動物食で、貧弱な胃を持つ傾向にあったのです。特に歯を失い、あごで食べ物をすり潰すことができない種は頑丈で筋肉質な胃を持っていた可能性が強く示唆されました。このように食べ物をすり潰す機能を頭から体内に移動させることによって、恐竜は頭のスペースを有効活用し、鳥類への進化の礎にしたのかも知れません。
より詳しい解説はYouTubeで7月24日に公開予定!我々の10年間の研究成果をご堪能下さい!また、YouTubeでは他にも我々の研究や最新の恐竜研究を詳しく解説しているので、是非ご覧ください!
[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=TU_hNr8de9I ]
↑7月24日にこの研究の解説動画を公開します。
[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=WrelkoUnGPQ ]
↑我々がNature誌で発表した世界最古の頭突き恐竜の解説動画。研究内容だけでなく、発見の経緯なども面白おかしく紹介しています!
詳細な研究解説
研究の背景:恐竜の内臓はどのように進化した?化石とは絶滅してしまった生物の手がかりを探る、ほぼ唯一の手がかりです。足跡や巣穴、変わったところだと糞の化石などもありますが、動物の、特に恐竜類の化石の大部分は骨です。これら骨の化石を手がかりに、これまで様々な恐竜類がどのような時代に生きて、どのような速さで走り、どのような生活をしてきたのか、様々な研究がされてきました。しかし、骨格の化石のみではどうしても取りこぼされてしまう情報があります。その代表例が内臓です。
内臓は皮膚や筋肉と同じく軟組織でできているため、骨と違って、動物が死ぬと真っ先に腐り落ちてしまいます。特に胃は自信が分泌する胃液によって溶かされてしまうため、恐竜の化石として現代まで保存されている例は、不確実な物を含めても数点しかありません。このため、恐竜類がどのようにして食べ物を消化、吸収していたのか。そしてその進化過程は長らく不明となっていました。
この難題に対して、本研究は胃そのものではなく、一部の動物が胃の中に保持する石、すなわち胃石に着目してアプローチしています。ここで言う胃石とは、動物の消化器官の中に含まれる外因性の石のことです。代表例としてはニワトリが食べ、体内に保持する石が挙げられます。ニワトリを含む鳥類は「砂肝」と呼ばれる第二の胃をもっており、ここで食べたものに圧力を加えて磨り潰します。その時、砂肝の中に保持される胃石が研磨剤のように働くことで、高い消化効率を実現しているのです。植物から栄養を吸収する為には強固な細胞壁を物理的に破壊する必要があるため、哺乳類のような歯をもたない鳥類にとって、砂肝と胃石を用いた「体内咀嚼」こそが植物食性に必要である、という訳です。
恐竜類からも胃石の化石は複数見つかっており、上記の理論もあって、「多くの胃石は植物食性の絶対的な証拠」とまで表現されていました。しかし、この理論には問題もあります。胃石を持つ動物の中でも、フクロウやミズナギドリと言った肉食性や魚食性の鳥類、更には肉食性のワニ類からも多数の胃石が報告されています。鳥類やワニ類といった恐竜の近縁種(ワニ類・恐竜類・鳥類は全て「主竜類」という同じグループに含まれる)、更には「超肉食性」と形容される大型恐竜、タルボサウルスからも大量の胃石が見つかっていることから、「胃石を持つ=植物食性」という単純な関係は成立しないのです。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-9fc3f060539f5384ced2ea5570fe22ef-1383x924.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]恐竜の「胃石」の写真。Takasaki et al. (2026)より改変(CCBY4.0)。Cがタルボサウルスの胃石と、Dがそのズーム。
そんな中、今回発表された論文は胃石の有無ではなく、その形に注目しました。というのも、この研究の筆頭著者である高崎竜司(VTuber古知累すすむ)による実験で、少なくともニワトリにおいては「植物食性」の個体よりも「肉食性」の個体は胃の筋量が多く、胃石がまるまっている傾向が捉えられていたのです。この傾向がニワトリ以外の主竜類(ワニ類・鳥類・恐竜類を含むグループ)でも確認できれば、これを応用する事で、恐竜類の食性、ひいては胃の筋量の推定が可能となると考えられます。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-b5723f97c319ae2900a9c31c6bee88a0-598x458.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]ニワトリを用いた胃石の形状と胃の筋量、食性の関係の概略図。Takasaki and Kobayashi (2020)より(CCBY4.0)。
そこでこの研究では鳥類、ワニ類46種104個体の胃石の形、食性、そして胃の筋量を調べ、恐竜の食性と胃の筋量を推定しました。
研究成果
1.胃石の形が胃の働きの指標となる 研究の結果、現生主竜類の胃石の形状は胃の筋量と相関することが示されました。つまり、角張った胃石を持つ個体の胃は筋量が低く、丸い胃石を持つ個体の胃は胃の筋量が多い傾向が見えました。これはニワトリを用いた動物実験と同じ傾向です。筋肉質な胃は胃の中で食べ物と胃石、もしくは胃石同士を強くこすり合わせることから、主竜類の胃石の形は胃の中で胃石が受けた摩耗度合いを反映すると解釈できます。[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-af3f1a3057b5a6d6876a101a9f9bec48-738x497.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]胃の筋量と胃石の形状の相関関係。Takasaki et al. (2026)より (CCBY4.0)。
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-2bfbfc56a0e6750fa867eb2e93a395b2-716x764.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]胃石の形状を用いた判別分析の結果。緑が植物食性、黄色が脊椎動物食性、紫が無脊椎動物食性、青が雑食性の個体を表す。Takasaki et al. (2026)より(CCBY4.0)。2.胃石の形状は食性を反映する 植物食性の鳥類は、食物をすり潰す為に筋肉質な胃をもち胃石を強く研磨するため、胃石の形状は胃の筋量だけでなく、その個体の食性を反映すると予測できます。この予測は本研究によって裏付けられ、現生動物において、胃石の形状は植物食性、脊椎動物食性、無脊椎動物食性、雑食性の4つのカテゴリーを約70%の精度で特定する事が可能だと示されました。これは、食べ物の種類によって胃の筋肉量や食物処理の方法が異なり、その違いが胃石の形に反映されたためだと考えられます。つまり、胃石の形は、食性そのものを直接示すだけでなく、食べ物を体内でどのように処理していたのかを示す手がかりになります。
3.鳥類につながるグループは筋肉質な胃が早くから進化していた可能性を提示
この研究で開発した手法を恐竜の化石記録に応用した結果、獣脚類(鳥類に繋がるグループ)の一部では、現生の植物食性鳥類に匹敵するほどの丸みを帯びた胃石が見られました。この傾向は特に歯を失った獣脚類に顕著に見られます。この事から、少なくとも一部の獣脚類は、現代の鳥類が砂肝で食べ物をすり潰すように、体内の筋肉質な胃の中で食べ物を磨り潰して消化に役立てていた可能性が高いと考えられます。
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-71f17a8ea3e0a789b6fc2801012b1a21-1274x513.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]恐竜類の胃石の形状から推測した胃の筋量の変遷。黄色:角張った胃石(非筋肉質な胃)、緑:丸い胃石(筋肉質な胃)。白丸:完全な歯列をもつ恐竜、黒丸:完全に歯を失った恐竜、グレー:部分的に歯を失った恐竜。Takasaki et al. (2026)より(CCBY4.0)。
4.恐竜類における消化戦略の多様性を示唆
獣脚類が進化の初期から繰り返し筋肉質な胃を獲得した一方、他の植物食性の恐竜類は異なる消化戦略をもっていた可能性も見えてきました。有名な三本角恐竜、トリケラトプスの遠縁であるプシッタコサウルスや、体長が20メートルを超える超巨大恐竜、竜脚類からは多くの胃石が見つかっていますが、その多くが角張っており、筋肉質の胃をもっていなかったと考えられます。これらの恐竜では発達した歯や顎、長い消化管の中で時間をかけて植物を発酵させるといった、筋肉質な胃と胃石に依存しない消化システムをもっていた可能性があります。恐竜たちはグループごとに異なる方法で食べ物を利用していたと考えられるのです。
今後の展望
今回の研究は、恐竜の胃石の形から、化石に残りにくい消化機能を推定する新しい視点を示しました。今後は、歯やあごの形、胃内容物、安定同位体、骨格の特徴などと組み合わせることで、恐竜が食べ物をどのように処理していたのかを、より多角的に明らかにできると期待されます。
特に注目されるのは、「歯やあごで噛む」ことと「胃ですり潰す」ことの進化的な関係です。鳥類につながる獣脚類では、筋肉質な胃が発達したことで、食物処理の一部を口から胃へ移していった可能性があります。その結果、歯や強い顎の筋肉への依存が弱まり、頭骨の形や感覚器官の進化にも影響したかもしれません。
つまり、胃の進化は消化の問題にとどまらず、恐竜から鳥類へ至る頭部の進化を考えるうえでも重要な手がかりになります。今後、胃石、歯、顎の筋肉、頭骨、脳函のデータを組み合わせることで、消化器官と頭部がどのように連動して進化したのかを検証できる可能性があります。
研究者本人による解説動画公開
7月24日にYoutubeにて本論文の解説動画を公開、及び同25日に論文発表記念配信を執り行います。
古知累すすむとは
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/169782/2/169782-2-e76537902037394daf57793ab0dd6a60-1056x1080.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ] 現役恐竜研究者、高崎竜司がYouTubeやSNSで恐竜を中心とした古生物学の最新研究を一般向けに解説するための姿。
主な活動内容は自分の研究紹介、最新の論文解説、化石発掘体験記、恐竜研究に必要な知識の発信など。
2026年7月現在、Youtubeチャンネル登録者数1.7万人、Xのフォロワー数9200人。
主要な国際論文(査読あり)
最古の頭突き恐竜ザヴァケファレ
鳥類の胃の進化
ニワトリの胃石と食性の関係
ニッポノサウルス再々研究
命名した恐竜など
Zavacephale rinpoche
Ravjaa ishiii
Paralitherizinosaurus japonicus
Yamatosaurus izanagii
Kamuysaurus japonicus
略歴
2025 ~ 現在: 岡山理科大学 助教
2023 ~ 2025:トロント大学(カナダ)海外特別研究員
2020 ~ 2023:岡山理科大学 博士研究員
2020:北海道大学 理学院 博士課程修了
論文情報
論文名:Gastrolith shape as an indicator of digestive function and its implications for dinosaurian digestive strategies
著者名:高崎竜司(岡山理科大学), 小林快次(北海道大学), Anthony R. Fiorillo(ニューメキシコ自然史科学博物館), Tsogtbaatar Chinzorig(ノースカロライナ州立博物館), Gregory F. Funston(ストーニーブルック大学)
雑誌名:Paleobiology
DOI: https://doi.org/10.1017/pab.2026.10112
リンク:https://www.cambridge.org/core/journals/paleobiology/article/gastrolith-shape-as-an-indicator-of-digestive-function-and-its-implications-for-dinosaurian-digestive-strategies/647E287A6C4E48CF4C50C709BE917BC7
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記事提供元:タビリス









