【医療図解解説】病態と手術手技をどう結び付けて伝えるか

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― MEDICAL FIG.、僧帽弁逆流症例のFigure設計事例を公開 ―

■ 概要
株式会社メディカルエデュケーション(東京都杉並区、代表:落合隆志)は、僧帽弁逆流症例に対する乳頭筋再配置術を題材としたFigure設計事例を公開しました。
本事例では、左心室瘤に伴う複雑な病態と、それに対して実施される複数の手術手技を、どのような構造で整理・可視化すれば第三者へ誤解なく伝達できるかという観点から設計を行いました。
症例報告や手術手技論文では、病態の理解に加え、「どの病態に対して、どの手技が対応しているのか」という関係性を読者へ伝える必要があります。しかし、病態が連鎖的に進行し、さらに複数の手技が組み合わされる症例では、その対応関係を一目で把握することは容易ではありません。
本リリースでは、複雑な病態連鎖と手術介入をどのように整理し、一つのFigureとして構造化したのか、その設計判断を紹介します。
対象読者
・外科系論文のFigure設計を行う研究者
・症例報告の図解表現に課題を持つ医師
・医療・学術分野のビジュアル制作に関わる編集・制作担当者
■ 事例(出典情報)
本事例は、以下の症例報告に関連して制作されたFigureを対象としています。


論文タイトル:Papillary muscle relocation for mitral regurgitation attributable to flail but tethered commissure associated with a left ventricular aneurysm
掲載誌:JTCVS Techniques
著者:Hiromitsu Teratani, Kiyoyuki Eishi, Kikuko Obase, Yuko Nakao, Kazuki Hisatomi, Takashi Miura
DOI:https://doi.org/10.1016/j.xjtc.2025.102166


本Figureは、同症例における術前病態と手術手技の関係を模式的に整理する目的で、株式会社メディカルエデュケーション(MEDICAL FIG.)が制作を担当しました。
左心室瘤に伴う乳頭筋偏位と腱索断裂による術前病態を示すとともに、肉柱切離、乳頭筋再配置、edge-to-edge縫合の各手技を整理し、病態と手技の対応関係を視覚的に把握できる構成としています。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/26579/28/26579-28-c96f1bffe28376aa1ef8359b259df3e2-1280x720.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]左心室瘤に伴う乳頭筋偏位と腱索断裂による術前病態を示すとともに、肉柱切離、乳頭筋頭の近接縫合、edge-to-edge縫合の各手技を段階的に整理したFigure。病態と手技の対応関係を視覚的に把握できる構成とした。
■ なぜこの症例は理解しにくいのか
本症例では、左心室瘤形成による心室形態変化を起点として、
・乳頭筋偏位
・弁尖テザリング
・腱索断裂
・弁尖接合不全
が連鎖的に生じ、最終的に僧帽弁逆流を呈していました。
つまり、複数の病態が独立して存在しているのではなく、一つの病態変化が次の病態を引き起こす構造となっています。
一方、手術側では、それぞれの病態に対して異なる介入が行われます。
肉柱切離および乳頭筋再配置は、偏位した乳頭筋と弁尖テザリングの改善を目的とし、edge-to-edge縫合は弁尖接合不全を補うために行われます。
そのため本症例では、「どの病態に対して、どの手技が対応しているのか」という関係性を整理して伝えることが、Figure設計上の重要な課題となりました。
■ 病態連鎖と介入点をどう整理するか
Figure設計では、以下の課題を設定しました。
・病態連鎖をどのように整理するか
・手術手技をどの粒度で分解するか
・病態と介入点をどう対応づけるか
・読者の理解負荷をどのように制御するか
本事例では、「何を描くか」だけでなく、「どの順序で理解してもらうか」を重視して設計を進めました。
■ Figure設計で行った4つの判断
1.病態構造の固定
乳頭筋や弁構造の位置関係を左図で示し、病態の空間構造を明示的に固定しました。
これにより読者は、個々の手技を追う前に、まず病態そのものの構造を理解できる構成としています。
2.病態連鎖の分解
左心室瘤形成から僧帽弁逆流に至るまでの病態進行を整理しました。
病態を単なる結果として示すのではなく、「どのような因果関係で現在の状態に至ったのか」という理解を促す構成としています。
3.病態と手技の対応関係の明示
手技を単なる手術手順として並べるのではなく、
・肉柱切離・乳頭筋再配置 →  乳頭筋偏位・テザリングへの介入
・edge-to-edge縫合 →  弁尖接合不全への介入
という形で、病態との対応関係が分かるよう配置しました。
これにより、読者は「何をしたか」だけでなく、「なぜその操作が必要なのか」を理解できる構造となっています。
4.視覚表現による構造差の強調
病態連鎖の分解を明確に示すため、
・色調差
・境界線
・コントラスト
を用いて構造差を強調しました。重要な病態変化を視覚的に認識しやすくすることを目的としています。
■ あえて描かなかった情報
本事例では、情報量を増やすことよりも、理解負荷を制御することを優先しました。
具体的には、
・操作対象外の構造情報は簡略化
・主題との関連が薄い情報は削除
・生理学的詳細より構造理解を優先
という判断を行っています。
Figure制作では、「何を描くか」と同じくらい、「何を描かないか」が重要になります。
■ 本事例が示すもの
本Figureは、単なる症例説明の補助図ではありません。
左心室瘤形成から僧帽弁逆流に至る病態連鎖を分解し、それぞれに対する手術介入を対応付けることで、複雑な医療情報を第三者へ伝達可能な形へ再構築した事例です。
また本事例は、
・病態を結果ではなく連鎖として整理する
・手技を機能単位で分解する
・病態と介入点を対応付ける
・情報量ではなく理解負荷を制御する
という、症例報告や手術手技論文全般に応用可能な設計原則を示しています。
株式会社メディカルエデュケーションでは、研究内容そのものではなく、「研究成果をどのように伝達するか」という設計領域を専門とし、症例報告、手術手技、学術資料における情報可視化を支援しています。
■ 株式会社メディカルエデュケーション/MEDICAL FIG.について
株式会社メディカルエデュケーション(株式会社SCICUSグループ)は、医学・生命科学・ヘルスケア分野において、研究者や専門家の思考整理と構造可視化を支援しています。
MEDICAL FIG.では、論文Figure、Graphical Abstract、Central Illustration、手術手技図などの制作を通じて、研究成果および臨床知識の伝達設計を行っています。
■ お問い合わせ先
株式会社メディカルエデュケーション
コーポレートサイト
https://www.medicaleducation.co.jp/
お問い合わせフォーム
https://www.medicaleducation.co.jp/inquiries

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記事提供元:タビリス