AIは健康格差を広げるのか ―そのしくみを読み解く新しい枠組みと、影響を点検する評価手法を提案―
2026/10/8 23:02 PR TIMES
千葉大学予防医学センターの中込敦士准教授は、AIが健康格差(注1)を生み出し、固定化させていく道筋を「再分配」「変換」「蓄積」の3つで説明する新しい枠組み(RTAフレームワーク、(注2))を提唱しました。あわせて、AIの影響を導入前だけでなく導入後も継続して点検する評価手法「分配影響評価(DIA)」(注3)を提案しました。本手法はAIの影響を継続的に点検するしくみづくりへの貢献が期待されます。
本研究成果は、2026年10月6日に、学術誌Journal of Medical Internet Researchで公開されました。
論文はこちら:10.2196/98158
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/15177/1251/15177-1251-392e02fa18c8c939fe6a7e052530a777-616x369.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図 AIが健康格差を生み出す道筋を整理した「RTAフレームワーク」
■研究の背景
AIは、私たちが「使っている」と意識しない採用選考や職場の管理、行政サービスの割り振り、医療での判断の補助など、人々が受け取る資源や機会を左右しはじめています。
健康は、収入や仕事、教育、人とのつながりといった社会的な条件(健康の社会的決定要因(注4))に大きく左右されます。そのため、AIが社会のしくみ自体をどう作り変えるのかを問う必要がありますが、それを整理した枠組みはこれまでありませんでした。
■研究成果のポイント
AIが健康格差にかかわる道筋を、次の2つのしくみと、それらを時間とともに増幅させる働きに整理しました。
1. 再分配(資源の配り方):AIは、仕事や教育、所得といった健康を左右する資源の配り方を変えます。さらに、質の高いAIを使える環境や使いこなす力に差があるため、AIそのものも不平等をもたらす新たな要因になります。
2. 変換(健康への結びつき方):立場が同じでも、健康へのつながりやすさは変わります。米国では、医療費を「必要度」の代わりに使ったアルゴリズムが黒人患者の必要度を低く見積もっていました。AIを使うこと自体の健康への影響も、人によって異なります。
3. 蓄積(時間による増幅):1.と2.の影響は、AIの繰り返しの使用や制度への組み込みによって、本人が気づかないうちに増幅し、固定化していきます。
ただし、これらは学習データの代表性、異議申し立てのしやすさ、導入後の点検といった条件次第で、格差を「縮める」方向にも働きます。そこで、この3点について導入前後を通じて点検する評価手法「分配影響評価(DIA)」を提案し、確認すべき指標、データ、担当する主体、実施時期を整理しました。
■今後の展望(研究者コメント)
「AIは健康に良いのか、悪いのか」という問いでは、いま起きつつある変化を捉えきれません。AIは、健康を左右する社会のしくみそのものを作り変えているからです。今後は、日本の大規模な追跡調査データでこの道筋を検証し、AIの影響を継続的に点検するしくみづくりにも貢献したいと考えています。
■用語解説
注1)健康格差(健康の不公平):集団の間で観察される健康の差のうち、不公平で、避けることができ、社会のあり方によって生み出されているもの。
注2)RTAフレームワーク:AIが健康格差にかかわる道筋を、再分配(Redistribution)・変換(Translation)・蓄積(Accumulation)の3つで整理した枠組み。本研究で提唱。
注3)分配影響評価(DIA):AIの導入が、健康にかかわる資源の配分や健康への結びつき方を集団の間でどう変えるかを、導入前と導入後を通じて点検する評価手法。本研究で提案。
注4)健康の社会的決定要因:人々が生まれ、育ち、働き、生活する環境など、健康を左右する社会的な条件。
注5)Viewpoint:新しい考え方や枠組みを示し、議論を促すことを目的とした論文形式。
■論文情報
タイトル:Artificial intelligence and the reproduction of health inequity: A Redistribution-Translation-Accumulation Framework
著者:Atsushi Nakagomi
雑誌名:Journal of Medical Internet Research ※Viewpoint(注5)
DOI:10.2196/98158
■研究プロジェクトについて
本研究は、以下の支援によって実施されました。
・日本学術振興会 科学研究費助成事業(課題番号:26K13299)
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本研究成果は、2026年10月6日に、学術誌Journal of Medical Internet Researchで公開されました。
論文はこちら:10.2196/98158
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/15177/1251/15177-1251-392e02fa18c8c939fe6a7e052530a777-616x369.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]図 AIが健康格差を生み出す道筋を整理した「RTAフレームワーク」
■研究の背景
AIは、私たちが「使っている」と意識しない採用選考や職場の管理、行政サービスの割り振り、医療での判断の補助など、人々が受け取る資源や機会を左右しはじめています。
健康は、収入や仕事、教育、人とのつながりといった社会的な条件(健康の社会的決定要因(注4))に大きく左右されます。そのため、AIが社会のしくみ自体をどう作り変えるのかを問う必要がありますが、それを整理した枠組みはこれまでありませんでした。
■研究成果のポイント
AIが健康格差にかかわる道筋を、次の2つのしくみと、それらを時間とともに増幅させる働きに整理しました。
1. 再分配(資源の配り方):AIは、仕事や教育、所得といった健康を左右する資源の配り方を変えます。さらに、質の高いAIを使える環境や使いこなす力に差があるため、AIそのものも不平等をもたらす新たな要因になります。
2. 変換(健康への結びつき方):立場が同じでも、健康へのつながりやすさは変わります。米国では、医療費を「必要度」の代わりに使ったアルゴリズムが黒人患者の必要度を低く見積もっていました。AIを使うこと自体の健康への影響も、人によって異なります。
3. 蓄積(時間による増幅):1.と2.の影響は、AIの繰り返しの使用や制度への組み込みによって、本人が気づかないうちに増幅し、固定化していきます。
ただし、これらは学習データの代表性、異議申し立てのしやすさ、導入後の点検といった条件次第で、格差を「縮める」方向にも働きます。そこで、この3点について導入前後を通じて点検する評価手法「分配影響評価(DIA)」を提案し、確認すべき指標、データ、担当する主体、実施時期を整理しました。
■今後の展望(研究者コメント)
「AIは健康に良いのか、悪いのか」という問いでは、いま起きつつある変化を捉えきれません。AIは、健康を左右する社会のしくみそのものを作り変えているからです。今後は、日本の大規模な追跡調査データでこの道筋を検証し、AIの影響を継続的に点検するしくみづくりにも貢献したいと考えています。
■用語解説
注1)健康格差(健康の不公平):集団の間で観察される健康の差のうち、不公平で、避けることができ、社会のあり方によって生み出されているもの。
注2)RTAフレームワーク:AIが健康格差にかかわる道筋を、再分配(Redistribution)・変換(Translation)・蓄積(Accumulation)の3つで整理した枠組み。本研究で提唱。
注3)分配影響評価(DIA):AIの導入が、健康にかかわる資源の配分や健康への結びつき方を集団の間でどう変えるかを、導入前と導入後を通じて点検する評価手法。本研究で提案。
注4)健康の社会的決定要因:人々が生まれ、育ち、働き、生活する環境など、健康を左右する社会的な条件。
注5)Viewpoint:新しい考え方や枠組みを示し、議論を促すことを目的とした論文形式。
■論文情報
タイトル:Artificial intelligence and the reproduction of health inequity: A Redistribution-Translation-Accumulation Framework
著者:Atsushi Nakagomi
雑誌名:Journal of Medical Internet Research ※Viewpoint(注5)
DOI:10.2196/98158
■研究プロジェクトについて
本研究は、以下の支援によって実施されました。
・日本学術振興会 科学研究費助成事業(課題番号:26K13299)
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記事提供元:タビリス









