古代の珍味から世界的トレンドへ:寧夏産ゴジベリー(クコの実)の産業アップグレードと世界進出

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AsiaNet 201589 (0095)

 

【中衛(中国)2026年6月15日新華社=共同通信JBN】標高1100メートル、賀蘭山脈(Helan Mountains)の東側斜面には、日差しに満ちた黄河の沖積平野が広がり、その一帯に青々とした農園がきらめいて連なっています。ここは、中国北西部に位置する寧夏回族自治区の中寧県です。ここでは第9回Goji Berry Industry Expo(ゴジベリー(クコの実)産業博覧会)の開会式が正式に幕を開け、生産農家は2026年の最初のクコの実の収穫に追われています。

 

クコの実は中国全土で広く栽培されていますが、寧夏産のクコの実は品質の高さで群を抜き、この地域を代表する特産品となっています。本物の寧夏産クコの実(ウルフベリーとしても知られる)の主要産地である中寧は、年間3000時間を超える豊富な日照に恵まれています。黄河と清水河(Qingshui River)が合流して生まれた弱アルカリ性の土壌には、必須ミネラルや微量元素が豊富に含まれています。こうした独特の自然条件が、この特徴的な「魔法の果実」を生み出しました。

 

地域を代表するクコ生産企業であるNingxia Wolfberry Goji Industry Co., Ltd.会長のPan Tai’an氏は「クコの実は1粒1粒すべてが手摘みです。クコの木は開花と結実が同時に進むため、すべての実を手作業で収穫しなければならないのです」と語りました。

 

Pan氏は「寧夏は気候が涼しいため、害虫や病気の発生はまれです。それでも私たちは化学肥料や農薬を決して使いません。クコの実の純粋で自然な品質を守るため、有機堆肥だけを施しています」と付言しました。

 

▽地域特産品から健康・ライフスタイルのトレンドへ

 

中国では、寧夏のクコの実は薬用にも食用にもなる珍味として重宝されてきました。寧夏クコは「Pharmacopoeia of the People's Republic of China(中華人民共和国薬典)」に唯一、薬用として正式に収載されている品種でもあります。古代中国の薬物学の名著「神農本草経」には、その抗老化効能が記録されています。こうした深い文化的伝統が、寧夏クコが国際市場へ進出するための確かな土台になっています。

 

今日、この古くから親しまれてきた赤い実は、世界でかつてない人気を博しています。強力な抗老化作用や高いビタミンC含有量、豊富な抗酸化物質を備えた寧夏クコは、国際的なソーシャルメディアで「スーパーフード」としてトレンドになっています。海外の消費者は、本場の寧夏産クコにプレミアム価格を支払うことをいとわなくなり、この実は、かつての素朴でニッチな特産品というイメージから脱しつつあります。

 

Pan Tai'an氏は「欧米の研究者たちは、クコの実の健康効果について、免疫力の向上や抗腫瘍作用、抗老化などの作用を長年研究してきました。彼らはクコを『スーパーフード』と呼び、その有効成分を抽出して健康補助食品や化粧品に利用しています。こうした動きが、私に深加工へ注力するきっかけになりました。そこにこそ真の価値があるからです」と説明しました。

 

数十年にわたり、業界は2つの大きなボトルネックに悩まされてきました。ひとつは生果実の極端な傷みやすさ、もう1つは深加工技術の未発達です。こうした課題に対応するため、同社は6年をかけて集中的に研究開発(R&D)を進め、クコのピューレの常温保存技術を開発しました。この先駆的な成果は、技術的空白を埋め、世界的なクコ産業をリードする標準を打ち立てるものです。

 

貴重な栄養成分を保つため、収穫後2時間以内に洗浄、パルピング(破砕)、殺菌、缶充填までの工程を完了させます。この厳格な作業工程により、クコ多糖類、ベタイン、ゼアキサンチンなどの主要な栄養素を最大限に保持することができます。

 

この中核的なイノベーションに支えられ、同社はこれまでに10万トン以上のクコピューレを生産し、総売上は20億元(約2億9300万米ドル)を超えています。さらに重要なのは、この技術が寧夏全域で50本の高水準生産ラインの建設を促し、地域産業を原料販売型から高付加価値製品の製造型へと転換させる決定的な変化をもたらしたことです。

 

Ningxia Forestry and Grassland Administration(寧夏林業草原局)のGoji Industry Development Center(クコ産業発展センター)が提供した最新データによると、寧夏産クコの販売ネットワークは、東南アジア、欧州、米州など50を超える国と地域に広がっています。2025年には、寧夏の生クコの実の生産量は20万トンに達し、産業チェーン全体の総産出額は213億元を超えました。

 

▽製品アップグレードから世界的な文化ブランドへ

 

Ningxia Wolfberryのような技術主導型企業が国際的なサプライチェーンで存在感を高める一方で、クコ産業の新興勢力は、クコの実を「単なる伝統的な薬草」とみなす消費者の認識を再構築しつつあります。EC分野のリーダー企業であるNingxia Qilixiang Goji Co., Ltd.は、この伝統的な滋養食品を若い世代に広めることに注力しています。2009年に、生活費から捻出したわずか700元の起業資金で3人の大学生が立ち上げた同社は、現在では年間売上が10億元を超えるトップクラスのブランドへと成長しています。

 

伝統的な滋養食を流行のライフスタイルへと変えるために、Qilixiangは、クコ・高麗人参、ナツメ・クコ、マルベリー(桑の実)・クコなど、さまざまなブレンドピューレを開発し、いずれも目を引くパッケージと組み合わせています。約200のオンライン店舗を運営する同社は、クコ製品のEC売上で常にトップの座を維持しています。

 

クコの実に由来するこれらの革新的で高付加価値の製品(クコピューレ、クコシードオイル、クコジュースなど)は、現在、世界的に非常に高い需要を得ています。かつては神秘的な中国の薬草と見なされていた寧夏産のクコの実は、今ではニューヨークでもロンドンでも中流家庭の日常生活に溶け込み、ハリウッドのセレブたちのお気に入りになり、世界中の高級レストランで使われる一般的な食材となっています。

 

この国際的な評価は、厳格な品質管理に基づいています。有機製品に求められる世界最高水準の食品安全基準を満たすため、寧夏のクコ関連企業は、世界で最も厳しい規制を順守しています。たとえば、Ningxia Wolfberry は、北米、欧州連合(EU)、日本の有機認証を21年連続で保持しており、世界市場への「グリーンパス(通行証)」を手にしています。これまでに、同社の製品は世界33の国と地域へ輸出されています。

 

現在、寧夏のクコ産業は、生産と販売にとどまらず、多角化した発展モデルを徐々に受け入れつつあります。クコのアートギャラリー、歴史博物館、体験センターの設立に伴い、この産業は単に「製品を売る」から、「景観を売る」、「文化を売る」段階へと移行し、多面的で統合された経済エンジンへと成長しています。

 

寧夏のクコの変貌は、中国製品と中国ブランドの進歩と台頭を反映しています。かつては知名度の低い西北の特産品にすぎず、低価格の原料として輸出されていましたが、今では世界的な健康トレンドとなり、技術、創造性、文化を原動力とする現代的で多様な産業へと進化しました。この歩みは、中国の伝統的農業におけるより広範な変革と、その実体経済を支える革新力を映し出しています。

 

ソース:Goji Industry Development Center of the Ningxia Forestry and Grassland Administration

記事提供元:タビリス