連載 令和30年に思いを馳せて 未来を考える⑨ GAFAでさえ大きな変化を強いられる時代(下)
2023/1/20 16:40 ジョルダンニュース編集部
国分寺に住んでいる友人が、見田宗介の「気流の鳴る音」を読もうと思い、アマゾンで調べて、朝に注文して出かけた。何と、夕方、家に帰ったときには届いていたという。アマゾンはGAFAの一社であるが、、前回で取り上げたグーグル、アップル、フェイスブック(現・メタ)とは大分違う。ラリー・ペイジ、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグには、コンピュータ、インターネットへの興味、あるいは情熱がある一方、通常のビジネスに関わることへの無頓着さ、忌避といったものが感じられるが、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスにはそれがない。
アマゾンは今や書籍だけでなく、ありとあらゆる商品を扱っている。オーダーを出したその日に配送がなされるためには、巨大な倉庫、考え尽くされたピッキングシステム、物流システムが存在しなければならない。どうすればそういったものが作りうるのか。コストベースで成り立つものなのか。考えれば考えるほどわからない。
それもそうである。アマゾンの営業利益は創業の 1995 年度から 2001 年度まで、純利益は 1995 年度から 2002 年度まで赤字であった。その後も売上高は飛躍的に増加しているが、営業利益の赤字はいつものこと。2020年決算でも、営業利益が-3860億ドル(-53兆円)。世界で従業員を130万人も抱えてのことである。純利益が-213億ドルと改善されるのは、恐らく弊社も使っているアマゾンのデータセンタービジネスの利益が貢献しているのであろう。それでも純資産も-3212億ドル、総資産も-93億ドル、何から何まで真っ赤っかである。
ジェフベゾスは、1997年から株主に対するレターを出し続けている。
”We believe that a fundamental measure of our success will be the shareholder value we create over the long term.”(「当社の成功の基本的な尺度は、当社が長期的に創造する株主価値であると信じています。」*1)という文章にはジェフ・ベゾスの考えが明確に述べられている。
そもそもの起業に至る経緯もこれまで見てきたGAFAの3社とは、大きく異なる。ジェフ・ベゾスは、1993年インターネットについて調査を任される。1994年、30歳のベゾスはウォール街のヘッジファンド「D. E. Shaw & Co.」のシニア・バイス・プレジデントを退職し、ワシントン州シアトルに転居した。シアトルでベゾスは、後に Amazon.com となる企業のための事業計画に取り組む。
電子商取引の年間成長率を2300パーセントと予測するレポートを読んだ後、ベゾスはオンラインで販売できる20種類の商品のリストを作った。次にベゾスは、このリストからもっとも有望と思われる5種類の商品を絞り込んだ。それらの商品は、コンパクトディスク、コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア、ビデオ、そして書籍だった。1995年7月、Amazon.com はオンライン書店としてのサービスを開始した。
1997年5月15日、Amazon.com は NASDAQ に上場(ティッカーシンボルは AMZN)し、1株あたりの価格18.00米ドルで新規株式公開した。目先の利益に捉われず積極的に投資を行うことで、他社サービスより先んじて市場シェアを獲得することに専念した。
開業当初の4 ― 5年間では利益を挙げることはできないと予測していた。Amazon の株主は「ゆっくり」な成長速度に対して、もっと速く採算性を確保しなければ株主の投資を正当化することはできず、長期的には生き残ることすらできないだろうと不満を漏らした。
「事業の中心はあくまで顧客であって、他社との競争ではない」と、ベゾスのレターには書かれており、それが成功した理由であるとベゾスは述べている。「焦点を顧客に当てること」が重要であり、顧客の要求は常に尽きることなくあり、それに答えることで企業は成長できる。
デロイトトーマツグループが発表した「世界小売業ランキング2022」は、全世界の小売企業から2022年度(2021年6月30日を期末とする事業年度)の売上高の上位250社をランキングにまとめたものであるが、一位は米国のスーパーマーケット大手ウォルマートで、売上高は5,591億5,100万ドル(約62兆円,2021年6月の為替レートで換算)に上る。24ヵ国で事業を展開、「エブリデイ・ロープライス」をコンセプトに掲げ、大量出店、大量仕入れ、大量販売により、低価格でありながらも高収益を上げている企業だ。アマゾンの売上は2,135億7900万ドル(約24兆円)だから、アマゾンの倍以上である。
それでも1年間の伸び率を見ると、2021年度のウォルマートは5,239億6,400万ドル、Amazonは1,584億3,900万ドルだから、1年間の伸び率はウォルマートが6.7%、アマゾンは34.8%である。
アマゾンは、強力なレコメンデーション機能、カスタマーレビュー、アフィリエイトサービスなど、独特の機能をユーザーに提供しながら、2017年6月には、最高の買収価格となる137億ドル(約1兆5600億円)で、米国の高級自然食品スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収した。2022年8月5日、掃除用ロボットの「ルンバ」を製造しているアイロボットも買収。販売品目を拡大しながら、ハイテクを加速しながら、ウォルマート超えに向かって進んでいる。
*1)Google翻訳
佐藤 俊和(さとう・としかず)
1949年福島県生まれ。 東京大学工学系大学院(修士)修了。79年株式会社ジョルダン情報サービス(現ジョルダン株式会社)設立、代表取締役社長に就任。現在に至る。18年 JMaaS株式会社設立。代表取締役社長。
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アマゾンは今や書籍だけでなく、ありとあらゆる商品を扱っている。オーダーを出したその日に配送がなされるためには、巨大な倉庫、考え尽くされたピッキングシステム、物流システムが存在しなければならない。どうすればそういったものが作りうるのか。コストベースで成り立つものなのか。考えれば考えるほどわからない。
それもそうである。アマゾンの営業利益は創業の 1995 年度から 2001 年度まで、純利益は 1995 年度から 2002 年度まで赤字であった。その後も売上高は飛躍的に増加しているが、営業利益の赤字はいつものこと。2020年決算でも、営業利益が-3860億ドル(-53兆円)。世界で従業員を130万人も抱えてのことである。純利益が-213億ドルと改善されるのは、恐らく弊社も使っているアマゾンのデータセンタービジネスの利益が貢献しているのであろう。それでも純資産も-3212億ドル、総資産も-93億ドル、何から何まで真っ赤っかである。
ジェフベゾスは、1997年から株主に対するレターを出し続けている。
”We believe that a fundamental measure of our success will be the shareholder value we create over the long term.”(「当社の成功の基本的な尺度は、当社が長期的に創造する株主価値であると信じています。」*1)という文章にはジェフ・ベゾスの考えが明確に述べられている。
GAFAの3社とは異なるアマゾン起業の経緯
そもそもの起業に至る経緯もこれまで見てきたGAFAの3社とは、大きく異なる。ジェフ・ベゾスは、1993年インターネットについて調査を任される。1994年、30歳のベゾスはウォール街のヘッジファンド「D. E. Shaw & Co.」のシニア・バイス・プレジデントを退職し、ワシントン州シアトルに転居した。シアトルでベゾスは、後に Amazon.com となる企業のための事業計画に取り組む。
電子商取引の年間成長率を2300パーセントと予測するレポートを読んだ後、ベゾスはオンラインで販売できる20種類の商品のリストを作った。次にベゾスは、このリストからもっとも有望と思われる5種類の商品を絞り込んだ。それらの商品は、コンパクトディスク、コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア、ビデオ、そして書籍だった。1995年7月、Amazon.com はオンライン書店としてのサービスを開始した。
1997年5月15日、Amazon.com は NASDAQ に上場(ティッカーシンボルは AMZN)し、1株あたりの価格18.00米ドルで新規株式公開した。目先の利益に捉われず積極的に投資を行うことで、他社サービスより先んじて市場シェアを獲得することに専念した。
開業当初の4 ― 5年間では利益を挙げることはできないと予測していた。Amazon の株主は「ゆっくり」な成長速度に対して、もっと速く採算性を確保しなければ株主の投資を正当化することはできず、長期的には生き残ることすらできないだろうと不満を漏らした。
「事業の中心はあくまで顧客であって、他社との競争ではない」と、ベゾスのレターには書かれており、それが成功した理由であるとベゾスは述べている。「焦点を顧客に当てること」が重要であり、顧客の要求は常に尽きることなくあり、それに答えることで企業は成長できる。
デロイトトーマツグループが発表した「世界小売業ランキング2022」は、全世界の小売企業から2022年度(2021年6月30日を期末とする事業年度)の売上高の上位250社をランキングにまとめたものであるが、一位は米国のスーパーマーケット大手ウォルマートで、売上高は5,591億5,100万ドル(約62兆円,2021年6月の為替レートで換算)に上る。24ヵ国で事業を展開、「エブリデイ・ロープライス」をコンセプトに掲げ、大量出店、大量仕入れ、大量販売により、低価格でありながらも高収益を上げている企業だ。アマゾンの売上は2,135億7900万ドル(約24兆円)だから、アマゾンの倍以上である。
それでも1年間の伸び率を見ると、2021年度のウォルマートは5,239億6,400万ドル、Amazonは1,584億3,900万ドルだから、1年間の伸び率はウォルマートが6.7%、アマゾンは34.8%である。
アマゾンは、強力なレコメンデーション機能、カスタマーレビュー、アフィリエイトサービスなど、独特の機能をユーザーに提供しながら、2017年6月には、最高の買収価格となる137億ドル(約1兆5600億円)で、米国の高級自然食品スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収した。2022年8月5日、掃除用ロボットの「ルンバ」を製造しているアイロボットも買収。販売品目を拡大しながら、ハイテクを加速しながら、ウォルマート超えに向かって進んでいる。
*1)Google翻訳
佐藤 俊和(さとう・としかず)
1949年福島県生まれ。 東京大学工学系大学院(修士)修了。79年株式会社ジョルダン情報サービス(現ジョルダン株式会社)設立、代表取締役社長に就任。現在に至る。18年 JMaaS株式会社設立。代表取締役社長。
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記事提供元:タビリス